公開日: 2019年10月17日
最終更新日 : 2020年6月30日
先月(2019年9月)、消費者庁が民泊に関する興味深いアンケートを行っていて、その内容が非常に興味深かったのでいくつかご紹介しようと思います。民泊に近いヴィラ等の一棟貸し宿泊施設の運営にも役立つ内容となっておりますのでご一読下さい。
アンケート詳細
アンケート詳細は消費者庁のサイトからダウンロード出来るのでご確認頂きたいのですが、アンケート対象は
調査期間 2019年8月7日(水)~8月8日(木)
調査対象 自ら民泊を手配し、有料で利用した経験を有する者
有効回答数 【本調査】520人
となっています。対象が520人なのでそこまで多くはありませんが、消費者庁調査という事もあり、ポジショントークが無く中立的な意見として参考になるでしょう
民泊サービスの利用理由
まず真っ先にみんなが気になる事を聞いてくれています。
Q1 民泊を利用した理由としてあてはまるもの全てをお選びください。
安いからが9割!!ほぼ全員安いから民泊利用!民泊は180日規制がある為、低価格高稼働のビジネスモデルにはなりえないというのは2年ほど前に予言した通りですが、ゲストはそれと真逆の安さ目当てで民泊を利用していて、運営者、利用者両者の溝の深さが浮き彫りになりました。
尚、三位の「大人数で滞在しやすい」は、ホスト側は民泊ならではと思いがちですが、ゲスト全体の28%しかそう思ってくれていないのは残念なところ。
といってもこの傾向は何も民泊に限らず一般的な宿泊でも言える事で、以前にご紹介した複数の調査結果でも同様に「料金」が最も気にされている点でしたので、民泊だから安さを求められる、一般宿泊施設はそうでは無いというのは誤りです。
Q2 民泊を利用したのは国内ですか、海外ですか。複数回利用している場合には、直近の利用についてお答えください。
民泊というと海外と相性が良さそうな印象もありますが、日本人のが日本を旅行する際にも利用されているようですね。
Q3 これまでに民泊を何回くらい利用したことがありますか。宿泊日数ではなく、国内と海外での合計利用回数をお答えください。
65%がリピーター。良かったから再度利用して頂いているのでしょう。
民泊プラットフォームを利用する際に確認する点
次は予約サイトについての質問です。
Q4 利用する民泊を選ぶときには、どのような点を確認していますか。
ここでも料金がトップに来ました。民泊ではホテルでは込みになっている「清掃料金」が追加で発生する事が多いので、そこまで含めてどうかというのを皆さん気にされているようです。また、Airbnbはホストの手数料が安い代わりにゲストの手数料が高いのも他予約サイトと違う点で、そのあたりまで含めてゲストは精査しているのが「総額」という文言からも伺えます。
設備・備品は恐らくWi-Fiや自炊出来る食器類では無いかと推測。具体的なものまで聞いてくれると助かるんですけどね。
Q5 民泊を予約・手配する民泊プラットフォームを利用するときには、プラットフォームのどのような点を確認していますか。
第一位が予約の変更・キャンセルに関して。利用者としてはここが最もネックになっているのでしょう。通常、ホテルではf1日前までキャンセル無料というのが一般的ですが、民泊等の一棟貸しでは直前キャンセル、ノーショーしてしまうとその日の利益が100%飛んでしまうので、なかなかゆるいキャンセルポリシーには出来ません。多くの施設が返金不可や厳し目のポリシーを設定しているかと思いますが、実はそこが最も見られている点なんですね。
オススメは繁忙期と閑散期でポリシーを分けるというもの。繁忙期は強気の厳し目ポリシーにして利益優先。閑散期はキャンセル、ノーショー覚悟でポリシーをゆるめにした方が他と差別化になって結果的に多くの予約を取り込める可能性があります。
民泊の今後の利用意向
Q6 あなたは今後も民泊を利用したいと思いますか。
9割以上が再度利用したいそうです。結構満足頂いているようですね
Q7 民泊を利用したくないと思う理由としてあてはまるもの全てをお選びください。
逆にもう利用したくないという方の理由はこちら。「衛生面」がトップ。やはりホテル等と違って古い物件が多いのか、衛生的な所がきになるようです。また、民泊での盗撮等が報道されている事もあり、プライバシーも気にされている点です。ただ、こちらは回答数が44なので参考程度でよいかもしれません。
民泊の利用におけるトラブルや困ったこと
Q8 民泊の利用に関して、トラブルにあったり困ったりしたことがありましたか。あてはまるもの全てをお選びください。
場所が分かりにくいというのはホテルのような大きな看板が無い民泊特有かもしれないですね。Googleマイビジネスに登録してGoogleマップに出てくるようにする事は必要でしょう。また、田舎なら路上看板も効果的です。
「部屋の様子が説明と違った」も要注意。プロカメラマンに依頼してキレイな写真を取るのは有効ですが、加工しすぎたりして実際よりも異常によく見えてしまうと、ハードルが上がりすぎて後々クチコミに響いてくるかもしれません。
以上、いくつか約に立ちそうな回答をピックアップしてご紹介しました。他にも色々なアンケートが乗っているので気になる方は直接のぞいて見て下さい。
民泊サービスの利用状況に関するアンケート結果
2019年9月11日
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/policy_coordination/internet_committee/pdf/internet_committee_190925_0003.pdf
元Booking.com アカウントマネージャー。数百以上の宿泊施設にウェブ販売をアドバイス。アパートメントタイプから、ビジネス・リゾートホテル、グローバルチェーンまで幅広いタイプの宿泊施設の販促をサポート。OTAの裏事情まで熟知したノウハウでホテル・民泊のウェブ集客をお手伝いします。