公開日: 2022年3月3日
最終更新日 : 2024年9月3日
ホテル運営をしていると、ゲストが階数の指定や角部屋希望、場合によっては「301号室で」等と特定の部屋を希望される事があります。確約が出来ない旨を案内すると怒り出すゲストが稀にいらっしゃいます。そこで本日は部屋の指定が出来ないホテル事情について解説します。次回からは「これを読め!」という為のエントリです笑
部屋の固定が難しい理由
民泊だと1室の為、このような悩みは発生しませんが、ホテルのように客室数が多くなるほど客室固定問題が発生します。
事前に部屋を確定出来ないのは一言でいうと「予約を最大化する為」です。
具体的に図解します。
仮に下記のような予約が入っていたとします
この時点で、7月1日〜7月10日までの予約が入ると、下記のように田中さんを101に移動して比嘉さんを102に割り当てます。問題無く予約を取る事ができました。
この時、もし下記のように赤字の鈴木さんと田中さんの客室を確約して固定していたらどうでしょう?
鈴木さんか田中さんを移動すれば10日間の比嘉さんの予約が取れるハズなのに、事前に部屋を確約・固定してしまうと予約を受け入れる事ができなくなるのです。
特に長期の予約の場合にはこの事例が発生しやすくなり、大きな機会損失になってしまいます。
これを避ける為にホテルは部屋の固定は極力したくないのです。
実際に多いリクエスト
ゲストからの部屋指定リクエストで多いのは下記のようなものになります
- 上層階希望
- 足が悪いので低層階希望(エレベーターが無い施設に多い)
- 角部屋希望
- 事前に荷物を送るので部屋番号を教えて欲しい(フロントの無い無人施設で多い)
- グループ同士と隣の部屋にして欲しい
チェックイン直前で稼働に余裕があるのであればリクエストを受けても問題ありませんが、繁忙期や先々の予約でこれらのリクエストを全て受け入れていると、先にご紹介したように機会損失になってしまいます。
さらには、部屋自体は存在する為、OTA上予約が入ってきます。そうなるとオーバーブッキングとなって余計な手間、費用が発生してしまうのです。
ゲストへの案内のコツ
かといって無下に断ってばかりいるとサービスの悪いホテルだなという印象を与えてしまう為、ゲストには下記のように案内するのがいいでしょう
「現時点では先の予約となる為、確約は出来ませんがなるべくご希望に添えるよう努力致します」
リクエスト情報をスタッフ間で共有しておき、チェックイン当日にリクエストが受けられるようであれば部屋割を変更しましょう。
ゲストがどうしても事前に部屋を知りたいという場合は、チェックイン3日前あたりに再度連絡して確認してもらいましょう。3日前であれば、稼働が空いていれば固定しても問題無い場合があります。
プランにしてしまう
もし指定のリクエストが多い場合にはそれを新しいプランや部屋にして販売するのも手です。
例
- 角部屋指定プラン
- 上層階ツイン
リクエストが多い=需要があるという事ですので、料金を少し高めに設定しても予約は入るでしょう。
階数で部屋を分ける例
ゲストからのリクエストはゲストが欲している事ですので、逆に商品として販売して収益をあげる方向で考えてみてはいかがでしょうか。
元Booking.com アカウントマネージャー。数百以上の宿泊施設にウェブ販売をアドバイス。アパートメントタイプから、ビジネス・リゾートホテル、グローバルチェーンまで幅広いタイプの宿泊施設の販促をサポート。OTAの裏事情まで熟知したノウハウでホテル・民泊のウェブ集客をお手伝いします。