公開日: 2022年8月31日
最終更新日 : 2022年11月15日
弊社ではホテル、民泊等の宿泊施設の売上を上げるお手伝いをしています。多くの施設様をサポートする中で、様々な施策を打っていくのですが、本日はその中でも特に効果のあった上位3つをご紹介致します。販売が上向かない施設様は参考にしてみて下さい。
「攻める」 施策とは
弊社はホテル・民泊の無人運営のサポートを行っています。無人運営というと、人件費を削減する目的が注目されがちですが、費用削減の「守る」施策と合わせて、売上を上げる「攻め」のサポートも行っています。
無人化による人件費削減と合わせて、一般的なホテルコンサルティング会社が提供する売上げアップの施策も同時に行っていくのです。
それにより、費用削減+売上げアップ で、より効果の高いコンサルティングを実現しています。
①OTA精査
まずとりかかるのがOTA(予約サイト)の精査です。単に増やすだけでは無く、不要なOTAは販売を停止していきます。
具体例1 一休の利用を停止
ホテルBのOTA売上はじゃらん、楽天、一休という順でした。他の海外OTAは全く予約がはいっていませんでした。
通常であれば、一休も継続販売するところですが、あえて一休の販売を停止。Booking.com、Airbnbに注力したところ、売上が400%増に。
一休も並行して販売してもいいのではないかと思うかもしれませんが、あえてここで一休を切ったのは繁忙期の予約を集客力のあるOTAに集中させる為という目的があります。
そのホテルでは一休はもともと平日等の閑散期にはあまり予約が入らず、ほっといても満室になる繁忙期に予約が増える傾向がありました。
一休を販売停止にする事で繁忙期の予約を集客力のあるOTAに振り分ける事ができ、予約の増えたOTAでは掲載ランクが上がってさらに予約が入りやすくなるという好循環が生まれるのです。一休を併売していると、予約がバラけてしまい、注力するOTAの好循環にブレーキがかかってしまうのです。
具体例2 Airbnbの利用を開始
ホテルAはサポート開始時点ではAirbnbを利用していませんでした。なんとなくこれまで楽天、じゃらんばかりに頼っていて、全体売上の8割が楽天とじゃらん。
昨今のAirbnbの集客力を説明した上で利用を開始したところ、Airbnbが全体売上の15%程まで向上し、総売上も一気に回復。
民泊ではメジャーな存在のAirbnbですが、ホテルタイプでは利用していない施設もまだまだあります。民泊専門OTAだと思わずに一度利用することを強くオススメします。
部屋数別最適OTA
どの程度のOTAを利用していくかは施設の状況によって変わってきますが、概ね下記を参考にしてみて下さい
1〜4室:1棟貸しバケーションレンタル・民泊
Airbnb + Booking.comのみ
楽天やじゃらんは一棟貸しと相性が悪く、予約がほとんど動きません。
5〜10室:零細ホテル
Airbnb、Booking.com、楽天トラベル
で十分でしょう 。10室くらいになるとじゃらんかExpediaも追加しても良いでしょう。
1〜20室:小規模ホテル
Airbnb、Booking.com、楽天トラベル、じゃらん、Expedia、Agoda
これらで販売してみて、予約が弱いOTAは閉鎖してもOK。施設によって相性の良いOTAがある為です。
21〜:中規模ホテル
Airbnb、Booking.com、楽天トラベル、じゃらん、Expedia、Agoda
にプラスして、Yahooトラベルや一休等状況に応じて追加
尚、Agodaに関しては、Booking.comと連携している為、別途契約しなくてもAgoda上で販売されます。
わざわざ直接契約する必要性は現時点では低いのですが、Booking.comとAgodaの親会社であるブッキングホールディングスの方向性として今後はアジアではAgodaが主導権を持って事業展開していく事が決定している為、今後の伸びしろという意味で今のうちからAgodaの追加をおすすめしています。
最近ではバナナマンを起用したTVCMも流れているので、今後日本人の集客でも期待ができそうです。
②写真の入れ替え
サポートをするにあたり、販売ページをみてみると、写真の入れ替えもほぼ必ず必要になってきます。ホテル側で利用していた写真で多いのが下記3つです。
- 枚数が少ない
- 画像が暗い
- 撮影角度が甘い
枚数が少ない
枚数は施設規模にもよりますが、30〜50枚程度は欲しいところです。
画像が暗い
客室内の為、暗くなりがちなのですが、下記に気をつけるだけでも格段にキレイになります。
- 晴れた日の日中にカーテンを開けて撮影する
- 撮影後、加工の段階で明るくする
特にお手洗いやバスルーム等、窓の無い箇所は暗くなりがちですので、明るさ調整は必要になってくるでしょう。
撮影角度が甘い
素人が撮影すると、立ったまま上から見下ろすように撮影している事がほとんど。少しかがんで、天井も入るように撮影するのが鉄則です。
また、広角レンズを利用して画角を広く撮影する事で室内の雰囲気がしっかりと伝わるようになります。
③料金形態変更
ここまでできて初めて料金関連に手をつけます。料金は予約向上に最もインパクトのある点ですので真っ先に変更したくなりますが、上記2点をテコ入れしてからでないと、ただ安くするだけになってしまいます。
少しでも高単価を維持できるようにしっかり整えておきましょう。
料金形態の変更についていくつかご紹介します。
料金変更
純粋に販売価格を変更する方法です。
料金を変更する際はまず近隣マーケット料金にある程度合わせる必要があります。高すぎると予約が入らず、安すぎると利益の取りっぱぐれにつながります。
また、マーケット料金は常に変動していますので、常に予約の動きをみながら自施設の料金も変更する必要があります。
例えば、
- 9月に入る時点で9月の稼働率が80%まで積み上がっていると、料金が安すぎる → 値上げ
- 20室のホテルで丸1週間、当月の稼働率に変化が無い場合にはマーケット料金と乖離している → 値下げ
といった具合です。
稼働の動きは毎日チェックする必要があります。
「なんとなく最近動きが鈍いから値下げ」
とやっていては再現性がありません。
基本人数変更
基本料金で何名まで宿泊できるのかを変更するやり方です。
例えば
- 基本料金 10,000円
- 基本人数 1名
- 1名追加代金 3,000円
という宿の場合、1名での宿泊だと10,000円ですが、3名での宿泊だと1名追加代金3,000円x2=6,000円が追加になって16,000円になります。
基本料金をこれ以上さげられないという場合、基本人数を上げる事で最低料金は変えずに、複数人数への値引きという事が可能です。
これは一棟貸しの場合等に 人数売りを部屋売に変更すると大きなインパクトが出ます。
例えば
- 基本料金 20,000円
- 基本人数 4名
- 1名追加代金 3,000円
の宿に10名で宿泊した場合、人数売りだと20,000円+追加代金18,000円で合計38,000円ですが、部屋売にしてしまえば20,000円で約半額です。かつ最低限の20,000円という単価は維持出来ます。
タオル・アメニティの関係で部屋売が厳しい場合は、1名追加代金をタオルアメニティ代金程度の1,000円にする事でも同様の効果が得られますね。
部屋ごとに異なる清掃費
これは特殊な事例ですが、客室タイプが複数あるホテルで外部清掃業者に清掃を委託している場合に必要になります。
例えば客室の広さが30㎡、50㎡、80㎡とある場合、当然清掃費が異なります。そのような場合にはAirbnb以外のOTAでは清掃費の設定にコツが要る為、それを知らずに全ての客室で同じ清掃費を設定してある事があるのです。
客室の広さに応じた適切な清掃費を設定する事で予約が成約するようになります。
下記でも詳しく説明してますのでご確認下さい。
Booking.comの清掃費 客室ごとに異なる料金を設定する方法
まとめ
テコ入れというと、プロモーションやキャンペーン参画等を想像してしまいますが、それ以外にも出来る事が多々あります。むしろ今回紹介した手法の方がキャンペーン参加よりも効果が高いでしょう。
今回の内容はご自身でもできるものばかりですので是非参考にしてみて下さい。
元Booking.com アカウントマネージャー。数百以上の宿泊施設にウェブ販売をアドバイス。アパートメントタイプから、ビジネス・リゾートホテル、グローバルチェーンまで幅広いタイプの宿泊施設の販促をサポート。OTAの裏事情まで熟知したノウハウでホテル・民泊のウェブ集客をお手伝いします。