公開日: 2021年2月26日
最終更新日 : 2021年2月26日
コロナ不況でこれまでに無いほどホテルが売りに出ています。観光客が今は飛散な状況ですので、通常期より安く売られている事でしょう。今後需要が回復する事を前提にすると、今ほどのホテルの買い時は無いのではないでしょうか。そこで本日は、元不動産屋で元OTA(予約サイト)の著者が、買って良いホテル、買ってはいけないホテルについて解説します。
沖縄の売りホテル
沖縄の売りホテルは下記のようなサイトで多く掲載されています。
サイトをざっと見た後で読み進めて頂くとイメージしやすいかと思います。
買ってはいけないホテル
まず先にかってはいけないホテルからご紹介します。
エリアの悪いホテル
買ってはいけないホテルの代表例は需要の無い・低いエリアのホテルです。OTA勤務時代、常に市町村ごとの予約の動きを追っていたので自信を持って言いますが、エリアで全く需要が異なります。
当たり前過ぎて拍子抜けしそうですが、重要なので真っ先に上げました。沖縄ならどこも同じだろうというのは軽率です。
沖縄本島の宿泊の約半数は那覇市です。これはイメージしやすいでしょう。だからといって、すぐ隣の浦添市でも良いかというと全くそんな事はありません。もう、全く需要が無い。
検索時に「那覇市」と検索するとそこで弾かれます。
他にも、東海岸(うるま市、西原町、与那原町)もなかなか需要がありません。
需要のあるエリアはどこかというと、需要の高い順に
那覇市>北谷町>恩納村=石垣島>名護市>本部町
という具合でしょうか。シーズンやインバウンドの戻り具合にもよりますが、概ねこれらの市町村が需要の大半を占めています。
これら以外のエリアが全くダメという訳ではありませんが、頭に入れておくとよいかと思います。
駐車場が少ないホテル
これも重要です。那覇市中心部であれば駐車場が無くても問題ありませんが、そうでない場合で駐車場が戸数分取れないようなホテルは危険です。特に近くにコインパーキングも無いような場所であれば尚更。
駐車場が少ないと繁忙期に部屋を埋める事が出来ないだけでなく、将来的に賃貸に転用したり、売りに出す時にも苦労するでしょう。
古いホテル
これも当たり前ですが、古いと修繕が必要になります。修繕が一部屋だけならまだしも、騒音が響く為に修繕の期間ホテルを休館せざるを得ない状態にもなりかねません。
特に水回りの工事は費用も時間もかかる為、購入金額が安く表面利回りが良くても、結局は高くついたなんて事になりますので注意して下さい。
買って良いホテル
ここからは買っても良いホテルのご紹介。条件が良いとその分価格も高くなりますが、ご紹介する点を頭に入れながら選定してみて下さい。
オーシャンビューホテル
ホテルも不動産ですので、やはり立地が全てです。沖縄といえば海ですので、観光客が求めるのも海が見えるホテルです。
- 海岸まで近い
- 部屋から海が良く見える
こういったホテルは料金も高く設定出来ますし、稼動率も高くなります。
買値さえ間違わなければく運営出来るでしょう。
その時にご注意頂きたいのが、「ホテルと海の間に他に建築計画が無いか」という点です。
抜群の眺望だったので購入したけど、数年後目の前にホテルが建って海が見えなくなったというのでは笑い話です。
法務局や市役所で土地所有者情報を確認しておきましょう。目の前の土地をデベロッパー等が保有している場合はかなりの確率でなんらかの建築が行われますので、注意して下さい。
駅チカホテル
駅チカホテルとはモノレール沿線の立地です。駅から200m以内だと最強です。ビジネス客だけで無く、観光客も取り込めます。特に県庁前駅〜安里駅あたりまでは国際通り近くという事もあり多くの需要が見込めます。
また、旭橋駅は空港へのアクセスが良い為、問題ありません。おもろまち駅もそこそこ需要があります。
それら以外の駅はビジネス、観光共に需要が少ない為、少し検討した方が良いかもしれませんね。
1室の広さについて(重要!!)
この点は結構重要なので詳しくご紹介します。
ワンルームタイプ
一般的にホテルでも賃貸でも広さが狭くなるほど見た目の利回りが良くなります。
例えば20㎡のワンルームアパートが4万円程度でで借りれますが、同じ立地で倍の広さ40㎡のアパートが8万円もするかというとそんな事はありませんよね。せいぜい6万円です。
倍にしても賃料は倍にはなりません。逆を言えば、小さくする程、面積あたりの料金が高くなるのです。
これはホテルでも同じです。
20㎡のホテルが1泊5,000円だとすると、40㎡のホテルは7〜8,000円程度です。へたしたら6,000円くらいかもしれませんね。
この原理は不動産ですのでホテルも賃貸も全く同じです。
ではこの原理が働くとどうなるか。ホテルも収益物件ですので、利回りを追う方向に向います。特に数年前に始まったインバウンドバブルで収益物件としての小規模ホテル建築ラッシュがあったのですが、その多くがワンルームタイプでした。
表面利回りが良い方が売りやすいので当然の流れです。
つまり、今市場、特に那覇市にはワンルームタイプの物件が溢れているのです。売りに出ているホテルもそういった物件が多くなります。
最も多い観光客がダブルやツイン等の少人数観光客である為、ワンルームタイプは相性は良く、全く稼働しないという事はありませんが、ただ供給が増えすぎた。その為、閑散期には単価を上げにくいう特徴があります。この点は注意が必要でしょう。
那覇市内でワンルームタイプを選ぶのであれば、圧倒的な立地、具体的には駅まで200m以内であればうまくいくでしょう。
駅チカでは無いワンルームタイプホテルは特に那覇市内では競合が多すぎるという点から、観光需要が回復するまでは少し苦戦するでしょう。観光需要が復活した暁には表面利回りの良さから、また供給が増える為、引き続き苦戦が強いられる可能性もあるでしょう。
ファミリータイプ
では逆に立地が微妙であるならファミリータイプのような大人数向けが良いのかというとそこもまた難しい所です。
ファミリータイプだと、民泊という受け皿がある為です。
現在はコロナで民泊も大分減った印象ですが、需要が戻ってくるとまた増えてきます。戸建てタイプの民泊は広く、騒いでも隣に迷惑を掛ける事も無い為家族連れやインバウンドには人気です。その為、ホテルとして民泊と戦うのはあまり得策では無いでしょう。
中間タイプ
ではどういったタイプが良いのかというと、ワンルームでも無く、ファミリータイプほど大きくもないその中間(40㎡程度)の物件が狙い目です。
ワンルームタイプのように狭く無い為、広々と1人で利用したいという需要を取り込めます。
ワーケーション用の長期滞在用としても、ワンルームタイプより広い方が需要があります。長く住むのでワンルームの狭い部屋よりは少し広めにという需要は確実に存在するでしょう。
イザとなったら、料金をワンルーム並みに落とせばワンルームにも勝てます。
40㎡もあると、3〜4名の小規模グループの需要にも対応できます。日本の家族は子供が1〜2名というのが最も多いので、家族連れが安く宿泊したいという需要も取り込めます。かつ民泊程広くもないので利回りも比較的良くなります。
そして何より、そういった物件が市場に少ない=競合が少ないのです。ワンルームタイプか戸建てタイプが鬼のように増えましたが、中間タイプは利回りがワンルームタイプほど良い訳でも無く、戸建てタイプのようにインバウンドウケする訳でも無かった為、脚光が当たらなかったのでしょう。
市場にある物件が少ない為、売りに出る事もまれですが、もし出てきた場合には、第一候補として検討してみても良いのではないでしょうか。
まとめ
沖縄で購入後、集客に苦戦しないホテルの特徴をざっくりまとめると
- 市町村を絞り込む(那覇市、北谷町、恩納村、石垣島、名護市、本部町)
- オーシャンビュー物件もしくは駅チカ物件を選ぶ
- 広さは40㎡前後
この辺りを意識すると大外れは無いのではないかと思います。
全てを満たすホテルとなると高額になる為、そもそも収益物件として成り立たない程の価格であれば購入するメリットはありませんが、選定する中で、上記のいずれかを意識して選ぶとヒントになるのでは無いでしょうか。
元Booking.com アカウントマネージャー。数百以上の宿泊施設にウェブ販売をアドバイス。アパートメントタイプから、ビジネス・リゾートホテル、グローバルチェーンまで幅広いタイプの宿泊施設の販促をサポート。OTAの裏事情まで熟知したノウハウでホテル・民泊のウェブ集客をお手伝いします。