公開日: 2017年8月8日
最終更新日 : 2017年9月20日 宿の経営をしていると、ノーショー、直前キャンセル等に悩まされる方も多いはず。かと言って全てカード事前決済にして対策する事が本当に正しいのでしょうか? 今日は事前決済のデメリットについて、世界のクレジットカード事情と沖縄の訪日観光客データからお伝えします。
世界のクレジットカード事情
「クレジットカードは当然利用できた方がいい」というのは単なる思い込みです。また、カードで事前に決済してしまいたいというのは、宿側の心理に立ったもので、ゲストはどうか?という顧客視点が欠けています。
日本人なら当たり前のクレジットカードですが、世界ではそこまで当たり前では無いのです。まず、世界のクレジットカード利用状況をみてみましょう。
諸外国におけるクレジットカード、デビットカード、E-マネー(プリペイドカード)別の 民間最終消費支出に占める割合(2014年)
参考)諸外国のキャッシュレス(カード決済)に関する統計 日本クレジット協会
日本で約18%。フランス、ドイツ、ベルギー等欧米先進国でもほぼゼロ。お隣中国もゼロです。実は世界ではそこまでクレジット支払いが一般的では無いのです。こんな状況で全てカード事前払いにしたらどうなるでしょうか。
ノーショー、キャンセルは減っても、多く潜在顧客を失う事になるのです。
世界のクレジットカード保有率
先のデータは「利用状況」だから、カード持ってるけど利用していない層は含まれないだろう、いざとなればカードはみんな使えるんじゃないか という疑問もあるかもしれません。そこで、今度は保有率を見てみます。
4位 米国 68%
6位 日本 66%
12位 香港 59%
17位 韓国 53%
22位 フランス 43%
24位 ドイツ 42%
73位 中国 9%
女性も大体似たような傾向にあります。
台湾は別資料から
利用率 14%
になるそうです。
参考) クレジットカード業界としての取り組み 日本クレジットカード協会
欧米は持っているけど使わない、中国はそもそも持っていないというのが多いようです。
沖縄の訪日観光客割合
そこで今度は沖縄入域者の外国人の割合を見てみます
2016年度 沖縄県 外国人入域者割合
参考)平成28度 沖縄県入域観光客統計概況
沖縄で利用するなら台湾、韓国、中国、香港の同行を確実に抑えつつ、諸外国についても少し検討する必要があるのです。
もう一度先のカード利用率、保有率のグラフを御覧ください。単純に全てカード事前決済にしてしまうと、沖縄の訪日観光客で多い台湾、韓国、中国、香港を見ると、40%-90%の顧客を失う事になってしまうのです。
沖縄でのカード決済のコツ
では、沖縄ではどうするのがいいのでしょうか。
オススメは「使い分け」です。
- 夏場等、100%満室になるようなら事前払いにして、ノーショー等を防ぐのもアリ。
- 一方で、閑散期は現地払いにして、カードを利用しない潜在顧客を獲得して少しでも稼働を増やす。
- 現地払いは現金、カード決済が選べるようにしておく事が重要。
ノーショー、直前キャンセルを減らす事ばかりを考えていると、顧客視点が欠けてしまいます。顧客視点が欠けた宿は顧客満足も低くなり、いずれ潰れてしまうでしょう。
日本人感覚だけでは無く、今後増え続ける外国人視点(顧客視点)に立った宿が増えるといいですね。
元Booking.com アカウントマネージャー。数百以上の宿泊施設にウェブ販売をアドバイス。アパートメントタイプから、ビジネス・リゾートホテル、グローバルチェーンまで幅広いタイプの宿泊施設の販促をサポート。OTAの裏事情まで熟知したノウハウでホテル・民泊のウェブ集客をお手伝いします。