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最近話題のOYOに宿泊した上で、そのビジネスモデルを解剖してみた

最終更新日 : 2020年6月30日 最近何かと話題のOYOって聞いた事はありますか?「インド発の不動産テック企業」とか、「ソフトバンクの孫さんがかかわってる事業」なんて説明される事もある面白そうな企業です。今日はそんなOYOについて、聞くだけではよくわからないので実際に宿泊してみた感想をレポートしします。その上で、OYOのビジネスモデルがどうなっているのかを、不動産業界、オンライン宿泊業界での経験がある私が解説します。

謎の企業OYOとは

まずOYOについて調べてみると

  • インド発のユニコーン
  • 不動産テック企業
  • 不動産業界の黒船
  • 世界2位のホテルチェーン
  • スマホひとつで賃貸完了
  • 初期費用無し
  • ソフトバンク孫正義が出資

というキーワードが出てきます。何だか凄そう。。。でも一言で言うと、「インドから来たスマホ一つでレオパレス」って説明するとなんとなく分かりますでしょうか。余計わからん!w

とにかく今勢いのある企業である事は間違いありません。

OYOの特徴とビジネスモデル

OYOには、不動産部門とホテル部門があるようですが、最近話題になっているのは不動産部門の方。ホテル部門は日本ではまだまだこれからという事なので、まず先に不動産部門のビジネスモデルをご紹介します。

特徴としては、「海外企業の力でこれまでの賃貸市場を根底から変える!」ような印象がありますが実はそうでも無くて、これまで存在した

  • 敷金・礼金ゼロ
  • IT重説
  • オンライン契約

の3つをかけ合わせたモデルになります。新しくビジネスを生み出す際の起点の一つになる「コンビネーション」をうまーく活用した、ビジネススクールの教科書に出したい事例です。

1の敷金・礼金ゼロは昔からあるモデルなので説明は割愛します。

2のIT重説はあまり聞いた事が無いかと思うので説明しますね。IT重説とは、「IT重要事項説明」の略です。これまで不動産を賃貸する場合には対面で宅建士からの重要事項説明というのが義務付けられていました。アパート借りる時に必ず街の不動産屋に呼び出されて色々説明されるアレですね。

これを、

「別に対面じゃなくてよくね?」「スカイプとかでもよぐね?」

ってなって、

「じゃ、2017年10月からOKね!」

となったのがIT重説です。要は法的にわざわざ不動産屋まで行かなくても重要事項説明はオンラインで済ませていいですよという法改正がなされたという事です。

(参考)

国土交通省 賃貸取引に係るITを活用した重要事項説明実施マニュアル

3のオンライン契約とは、その名の通りオンラインで契約を締結するもの。「電子署名及び認証業務に関する法律」に定められている通り、「紙にハンコついて無くてもちゃんとした契約ですよ」というものです。

経済産業省 電子署名及び認証業務に関する法律

みずほ証券、リクルート、モルガン・スタンレー証券、JTB等、各業界の大手企業も導入しているれっきとした契約方法で、専門のサービスも多く出てきています。

GMO Agree 

CLOUDSIGN

ざっくりまとめると、

  • 昔からある敷金礼金ゼロの物件を
  • IT重説で済ませて
  • 電子契約した

というものなんですね。もはやインド関係ねぇww

この3つをかけ合わせたビジネスモデルなので、必ずしもOYOで無いと出来ないものではありません。実際に三菱地所等大手不動産会社も参入してきているので早晩差別化は無くなるのでは無いかと思われます。むしろ自社物件持っているレオパレスや大東建託の方に分がある気もする。

私、元々不動産会社に努めていたのでこのあたりは結構詳しかったりします。

OYO Japanは実は本家とは全くの別物!

簡単にOYOの概要を説明してみましたが、冒頭で説明したように実は日本のOYOは本国インドとは違うビジネスモデルなんです。本家の方はホテル関連。日本は不動産関連。似てるようで違うんです。

日本の方は上記で説明した不動産屋ですが、本家の方はどうもホテルフランチャイズ企業のようです。フランチャイズと言っても、ホテルを新しく建築するのでは無く、既存のホテルをOYOブランドにリブランドして再生するというものです。看板かけかえてOYOとして売りますよっていうもの。

ホテル事業部はまだまだこれからという段階のようです。私の同級生がOYOに転職したので、その辺の事情も確かです。

で、日本のホテル事業部の主な業務は、既存のホテルに対して営業をかけて、

「内装、看板もOYOにして、販売までうちでやりまっせ!」

というものです。集客に苦戦しているホテルにはモッテコイな話ですよね。ブランディングが上手いのか、凄い事を展開しているような感じですが、やってる事は宿研さんやプライムコンセプトさん等のホテルコンサルティング会社とそこまで大きくは変わらないかと思います。 全然同じでは無く、AIを駆使して適正料金を割り出して一日1,000回も料金変更を行っているとか。人力では追いつけませんね。。。

そういったITを駆使した上で販売を本部で一括でやって、現地業務はそのままホテル側にやってもらうという感じでしょうか。

ただ、このホテル事業部まだまだこれからという事もあって物件があまり多く無いんです。ナゼか東北方面にはいくつかありましたが、都心ではそこまで多くありませんでした。2019年9月現在では沖縄にもまだ1つも存在しませんね。

実際に泊まってきたゼ!OYO東京浅草!

前置きが長くなってしまいましたが、百聞は一見にしかず。偵察も兼ねて実際に東京まで行って泊まって来ました。宿泊したのは不動産OYOでは無く、ホテルOYOの方です。

宿泊したのはこちら

Hotel Tsukigime Club Asakusa Azumabashi

あれ?名前OYOじゃないじゃん?と思いましたが、最近リブランドしたのでしょうか、名称変更がまだだったようで、予約直後に下記のメッセージが来ていました。

Hotel Tsukigime Club Asakusa Azumabashiこの度はご予約頂きありがとうございます。
「ホテル月極倶楽部浅草吾妻橋」の名称が変更されました。
新しい名前は「OYO URBANSTAYS ASAKUSA」です。

自社サイトはこちら

場所はこんな感じでほんとスカイツリー眼の前に見えますが、スカイツリーがデカイだけで徒歩10分位です。

フロントはこんな感じで、一般的なフロント。19時以降はシャッターが閉まって無人になりますが、開いている時はフロント奥の壁にOYOの文字があります。

フロントスタッフはインド人かな?とドキドキしながら乗り込みましたが、日本人のおばちゃんとお兄さんの二人体制。人件費削減してるのかと思いきや2名体制だったので少しびっくりです。元々が通常のホテルだったので、フロントの方も慣れたもので受付業務もテキパキとして全く問題ありませんでした。おばちゃんにいたっては「遠くから来られたんですね、お疲れ様」と非常に慣れた感じで好印象でした。

人件費に関してはしっかり削減の方向で、チェックイン自体が15時〜19時までになっていました。ちゃんとメールでも

※本施設は19時以降スタッフ不在となり、必ず19時までにチェックインをお願い致します。

という案内。夜遅いチェックインの場合は何か対策が必要ですね。

フロント周りの休憩スペース

外国人が多いからか、フロント周りには英語のツアーパンフレットも。ゲストには嬉しいですね。

廊下はこんな感じで、一般的なアパートのような感じです。

部屋の鍵は暗証番号式。チェックイン時に暗証番号が記載された紙をもらう方式。外出時に紙を室内に置き忘れて部屋に帰れなくなるゲストが多いとか。

室内はこうなっています。玄関入っていきなり洗面所!

ベッドルーム。見ての通りそこまでキレイな感じではありませんが、リネンは清潔でした。

ベッドにはお決まりのOYOカバーww 室内でOYOっぽいのはこれだけでした。この色、中国等では受けそうですが、日本には少し強すぎる印象ですね。

アメニティ類は可愛らしい入れ物に入っていました。

内容はこんな感じ。ブラシ、ひげそり、歯ブラシ、体洗うやつ、石鹸、シャンプー、ボディソープ、コンディショナー

ひげそりは男性には嬉しい三枚歯!

安物を利用しているワケでは無さそうです。

尚、一般ホテルと違って、連泊した場合の清掃やアメニティ補充はありません。変な印象を与えないように下記のようなメールも来ていました。

【補足】

ー 滞在期間中お部屋の清掃は致しませんが、アメニティの補充などのリクエストがございましたら、いつでもご連絡下さいませ。

このようなゴミの捨て場所やハウスルールもしっかり日英で準備されています。

他室内設備、アメニティはこんな感じです

室内にキッチンは無かったので、一般賃貸に変更するのは難しそうでした。

室内はWiFi完備で、速さはこんな感じ

そこまで早くは無いけれどネット閲覧したり動画観る分には問題無い速さでした。

全体的な感想

元々が古い建物なのであまりキレイでは無いのは仕方無いのですが、寝るだけなら問題無し。内装はリブランドという感じでも無く、ちょこっとOYOっぽさを出しましたという感じでしょうか。

大きく変わっているのは、外観の看板とフロント後ろのOYOロゴ位か。

気になるお値段は!

1泊辺り5,700円也!!!

安っ!!! 2泊したので合計でも11,400円! 8月後半の繁忙期でこのお値段です。近隣の一般ホテルのおよそ半額でした。ちなみに那覇ー羽田の航空券は繁忙期だけあってなんと往復5万円!! こんな良い次期なんだからもっとお値段高くしても予約入るんじゃ。。。と気になって仕方ない。

宿泊後のアフターケアはというと、今回の宿泊で不覚にもOYOに電子書籍キンドルを忘れて来てしまったのですが、その日のうちにちゃんと電話とメールで忘れ物してますという連絡を頂きました。その日の内にすぐに発送してくれて、アフターサービスにも大満足です。

ちなみに、過去に札幌のとある国内チェーンホテルに宿泊した際に、個人所有のパソコンの充電ケーブルを忘れた事があるのですが、ホテルからは一切連絡がありませんでした。こちらから連絡すると忘れ物を調べてくれてちゃんと発送してくれるのですが、ホテル側からの連絡は基本しないという方針だとか。その差に愕然としました。。。

OYOが凄いのか、フロントのベテランおばちゃんが凄いのかは今回の体験からはわかりませんが、いずれにせよ全体的にOYO、良かった!というのが感想です。

地方進出はあるか?

では気になる今後の展開は?という所ですが、恐らく近い将来ホテル部門も沖縄を含めた地方にに進出するものと思われます。都心の宿は販売が上手いので、地方の方がビジネスモデル的に相性が良かったりするかもしれませんね。

実際に私の友人もOYOの沖縄採用の面接を受けたそうなので、早ければ年内あたりには進出してくるのかもしれないですね。ホテル部門が進出するとしたら、東京、大阪、福岡、札幌、那覇の5都市でしょう。観光需要的にこの5都市がメインになるはずです。

仮に沖縄に進出した場合、古い宿泊施設をリブランドして主に価格で攻めてくるとなると、沖縄にはミ◯ター◯ン◯◯ゥというローカル巨人が暴れているので一筋縄ではいかないかと思います。ミ◯ターさんは主に新築ですし、かなり手強い。

まとめ

ポイントをまとめると

  • 日本のOYOは本家とは一線を画す
  • 不動産部門には今後は日本の大手不動産企業の参入が見込まれる
  • ホテル部門にはホテルコンサル業界という似た業態は既に存在する
  • OYOホテルは低価格戦略
  • 既存ホテルリブランドなので物件の質はまちまち
  • アメニティは普通よりちょい上
  • ホテルサービスはOYO基準があるからか結構良い
  • 地方進出は間近

という感じです。解剖してみると、そこまで特別な事をしている企業では無いのですが、 ぱっと見はホテルコンサルと似ていますが、AI料金調整やその他ITシステムが凄いようです。そこをブランディングしてアピール出来る所は凄いなと思った次第です。

日本のホテル業界にも風穴を空けられるのか!?今後が楽しみですね。


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