公開日: 2018年1月31日
最終更新日 : 2018年2月1日 昨日、旅行系サイトの閲覧者数に関するニュースが飛び込んで来ました。
旅行系サイトの閲覧者数ランキング2017、ツートップは「じゃらん」「楽天トラベル」、都道府県別の公式観光サイトは東京都がトップに
ランキング上位は下記
PCからの閲覧者数
順位 | 名前 | 2017年
閲覧者 |
前年比 |
1位 | じゃらん | 3,540万 | 95.20% |
2位 | 楽天トラベル | 3,330万 | 87.60% |
3位 | トリップアドバイザー | 2,620万 | 107.80% |
スマホからの閲覧者数
順位 | 名前 | 2017年
閲覧者 |
前年比 |
1位 | じゃらん | 3,720万 | 111.40% |
2位 | 楽天トラベル | 3,060万 | 104.40% |
3位 | リトリップ | 2,290万 | 83.90% |
こういうものを見ると、「じゃらん最強じゃん!」「これからはスマホ時代だよな!」と考えてしまいがちですが、そう考えたアナタ!アホです。(笑)スミマセン言い過ぎました。。。
今日は閲覧者数に見る、宿が注力する分野の間違い易い点について3つに絞って説明したいと思います。
①じゃらん最強説
じゃらんはPC、スマホ共にトップ。閲覧者の数が現状1番多いので、顧客取り込めるやん!と思ってしまいがちですがそこには大きな落とし穴が。
まず、じゃらんは今時FAX必須なのです。。。
じゃらんnet参画のご案内
■じゃらんnetからの通知をうけとれるFAX機をご用意ください。
※予約通知等大事なお知らせをFAXにて送信いたします。電話回線と別の回線でお願いします。
※11桁の番号はご利用いただけません。
https://www.jalan.net/jalan/doc/howto/10sankaku.html
FAX無いと参画出来ません。この時点で殆どの宿泊施設がやる気を無くします(笑)OTAなのにFAX通知という、石器時代のシステム。
しかも民泊の掲載はじゃらんでは無くグループ会社のスーモでの販売。
リクルート「SUUMO」がAirbnbと業務提携、民泊事業へ参入
FAX通知だと民泊に見向きもされないのを分かっているからあえて別ルートから開拓したのかもしれませんね。
伸び率を見ても、大した事は無く、PC版では楽天トラベルが一人で大ゴケしたので1位になった感があります。楽天トラベルは今年9月にサイト一新を予定しているのと、今後民泊も掲載していく事もあり、2018年はPC、スマホ共に一気に伸びるハズです。2018年版はPC、スマホ共に楽天トラベルがトップに返り咲くと予想出来ます。
民泊にとってじゃらんは最強どころか、足を踏み入れる事すら許されないサンクチュアリなのでした。
②スマホ全盛説
スマホは多くのサイトで前年比増となっていて、「PCからスマホ」というのは分かります。この流れは今後も続きます。かと言って、スマホだけに注力するのも考えもの。地域差や宿によっても多少の違いはありますが、例えば那覇市内の予約でも、最近ようやくPCからの予約をスマホが超えた程度なんです。PCから予約する方もまだまだ半数近くいる為、無視出来る数字ではありません。
ここでご注意頂きたいのが、掲載写真の画質です。通常、みなさんスマホを利用する時間が多いので、なかなか気付き難いのですが、PCの大画面で見た時に写真の画素の粗さってかなり目立つのです。
具体例を見てみましょう。下記ホテルをPCで見てみて下さい。
スマホの小さい画面で見るのに比べ、PCで大きく表示された際に画素の粗さが目立ちます。予約者への1番のアピールポイントは写真なのですが、これだと制約率はガク落ちです。
上記は極端な例ですが、ここまで行かなくても楽天、じゃらんに昔から掲載している宿は、画素の粗い写真を掲載したままになっている事が多いのです。サーバー容量の関係で、画像アップロード時に低画質のものしかアップ出来ない(出来なかった)という事情もあるようです。
また、先日楽天トラベルがサイト一新するという報道がありました。(PR記事ですが、リニューアルサイトの写真が載っていたのであえてこの記事を紹介します)
リニューアル後のサイトのイメージが掲載されていますが、写真がこれまでのサイトよりかなり大きく表示されています。海外OTAに近い感じですね。こうなるとますます写真の画質の重要性が増してきます。恐らく今後、楽天トラベル側からも画質の良い写真を掲載するよう指示が飛んでくるものと思われます。それまでに良い写真を準備しておきましょう!
画素は概ね300万画素以上あればPC画面でもキレイに見えるはずですのでご参考までに。
また、沖縄だとプロの写真家に依頼しても2-3万円でキレイな写真を撮ってくれるので、初期投資だと思って利用してみて下さい。確実に元は取れるハズです!
スマホは重要ではあるのですが、スマホのみに注力すると現状大半の顧客を失ってしまうので、まだまだスマホ、PC両方気にする必要があるのです。自社サイトもスマホ版だけで無く、かならずスマホPC両方対応のレスポンシブデザインにする事を心がけましょう。
③国内客を取り込みたいので国内OTAに注力説
日本の宿泊市場の国内外比率は外国客が約2-3割程度。インバウンド全盛と言ってもまだまだ殆どは日本人の国内旅行ではあります。閲覧者でみても、楽天、じゃらんがツートップ。だからと言って国内OTAと海外OTAの注力比率も同様でいいのでしょうか?
先のランキングの前年比を見てみて下さい。大幅増になっているのは、海外OTA。これだけ見るとインバウンドの並に乗ってるなという印象ですが、実はそれだけではありません。海外OTAの日本の国内宿泊施設の国内客と海外客の売上比率は実は既に国内客の方が多くなっているのです。
つまり、楽天、じゃらん等の国内OTAの日本人利用者が、海外OTAに流れていっているのです。楽天、じゃらんのPCからの閲覧者が大幅に減っているのはその為です。楽天のスマホからの閲覧者が4%しか増えていないのも海外OTAに顧客を取られているからなのです。本来であればスマホ時代に合わせてもっと大幅に増えているべきなのに4%の微増という事は確実に海外OTAに流れています。
理由としては、海外OTAが国内の宿泊施設を充実させて、国内OTAに負けないだけの商品力を持った事と、純粋な使いやすさという点だと思います。それもそのはず。同じようにUIやウェブサイトのデザイン開発に投資したとして、海外OTAはそのまま全世界に同じものを提供できるので大きなインパクトがありますが、国内OTAは同じ金額をかけて開発しても国内のみにしか提供出来ません。インパクトが極小です。それはそのまま投資出来る金額の差につながって行くので、結果使いやすさに大きな差が出てくるのです。業界は違いますが、アマゾン vs 楽天市場 も全く同じ構図ですね。
海外OTAというとインバウンドだけがクローズアップされがちですが、実は国内客を取り込みたい場合でも海外OTAへの注力は必須になってきているのです。
以上、じゃらん最強も、スマホ全盛も、国内OTA重視も、一見正しいように見えて実はそうでは無い事がわかるのではないかと思います。ランキングに踊らされる事無く、数字の裏にある動きを読みながら宿の経営が出来るようお手伝い致します!
元Booking.com アカウントマネージャー。数百以上の宿泊施設にウェブ販売をアドバイス。アパートメントタイプから、ビジネス・リゾートホテル、グローバルチェーンまで幅広いタイプの宿泊施設の販促をサポート。OTAの裏事情まで熟知したノウハウでホテル・民泊のウェブ集客をお手伝いします。