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事例で学ぶ!ホテル・民泊の効果的なクレーマー対応戦略

最終更新日 : 2024年5月16日

ホテル運営をしていると避けて通れないのが、クレーム対応。本来クレームにはサービス向上のためのヒントがたくさん詰まっていますが、時には理不尽なクレーマーに頭を抱えることもあります。

この記事を通して、どんなタイプのクレーマーがいるのかを知っていただき、いざという時のクレーム対応の参考になれば幸いです。

1. クレーマーとは?

クレーマーとは、商品・サービスに不満を持ち、会社や店舗に何らかの要求をする顧客のことです。

クレームがヒートアップし対応が長引くと、通常業務に支障が出る場合もあるので、初期の段階でどのようなタイプのクレーマーか判断をして、適切な対応をすることが重要となってきます。

2. クレーマーにも種類がある

クレーマーには様々な性質をもった方がいますが、主に「粘質タイプ」と「病的タイプ」に分けて解説したいと思います。以下、私がカスタマーサポート業務を担当する中での実体験エピソードをもとに感じた違いです。

粘質タイプ:

★初期の段階で対応を誤ると、最初は小さかったクレームの火種が一気に大きくなるので要注意。モンスタークレーマーへと変貌をとげてしまう場合も…。

病的タイプ:

★一度気持ちに寄り添ってしまうと、終わりが見えないほど話が長引いたり、何回も電話をかけてきたりとストーカー行為のようになってしまうため、注意が必要。

3. 厄介なモンスタークレーマーに要注意!

モンスタークレーマーとは、企業などに対して不当で度を越した、特別対応を要求をしてくる消費者・顧客のことをいいます。クレーマーの中で、最も厄介なタイプ!

最初から高圧的な態度で怒鳴るタイプの方も多く、対応が長引くにつれ、担当した従業員に精神的・時間的苦痛を与えやすいので注意が必要です。

4. クレーマー別対応戦略

<初期対応>

①ヒアリング

お客様からクレームが入る時は、ご立腹されている状況がほとんどです。まずは、お客様の話を遮らず、メモをとりながら話を聞きましょう。

★話を遮らない

★問題や原因がわかる前に全面的に謝罪をしない

②状況整理・問題点の確認

ある程度お話を伺えた時点で、状況整理をしていきましょう。疑問点に関しては、クッション言葉を使いながらお客様に確認することが大切です。お客様が何か誤解されている場合は、丁寧に説明を行いましょう。

★担当部署に事実確認が必要なケースは、その旨を正直に話し、部分謝罪をしてから後ほど折り返し連絡をする

★この時点で、どんなタイプのクレーマーかを認識しながら話を進めると◎

③部分謝罪・限定付謝罪

ホテル側に非があった部分や、お客様を不快にさせてしまった事柄に関しては、まず丁寧に謝罪を行いましょう。お客様の話を聞いて、問題点を確認した後に部分謝罪をすることで、より親身に謝罪していることが伝わりやすいです。

お客様によっては、②の状況整理の前に部分謝罪を行なって、一旦落ち着いてもらう方が良いケースもあります。

★ホテルに非がないこと・事実ではないことに対しては謝罪しない

④解決策・代替案の提示

ホテル側に非があった場合は、お客様の要望を汲み取りながら妥当で合理的な解決策を提案しましょう。

滞在中に解決ができそうな問題は、早急に現場確認やフォローを行い解決に努めます。設備不備など、滞在中の解決が難しく時間がかかる場合等は、一部返金を提案するのも一つの手です。

ホテル側の不手際で何らかの損失が出たにも関わらず、具体的な案を何も提示せずに謝るだけだと、お客様の怒りがヒートアップしてしまいます。後で口コミに低評価をつけられるなど、今後の運営にも関わってくるため、真摯にクレーム対応を進めることが大切です。

<粘質タイプ>

粘質タイプの人は、とにかく待てない・怒りっぽい・神経質な人が多いです。たらい回しはもってのほか。ゲストから何回も電話をされる前に、なるべく待たせず、早めに具体的な解決策を提案するのが大切です。

ただし、あまりに要求が多いことも多いので、無理な要求はお断りすることも大切です。上のものに対応を代われ!と怒鳴られても、ホテルを代表して回答していることをお話し、これ以上他の回答はないとキッパリ伝えましょう。

OTA予約サイトからのお客様の場合、予約サイトのカスタマーサポートとも連携をし、「ホテルでできるのはここまで、ここからは予約サイトの担当部署が対応する」など線引きを明確にして対応にあたることで、お客様の要求がヒートアップするのを防ぐこともできます。

<病的タイプ>

病的タイプのクレーマーの特徴として、話の隙を与えないほどに話し続ける・被害妄想が多い・具体的な要求が掴めないことが挙げられます。常識が通用しないことがほとんどなので、最初から親身に話を聞かないことが意外に大切です。

一度寄り添ってしまった後に、手に負えないからと言って電話を無理やり切ったりすると、病的クレーマーにとってはフラれたような感覚になってしまい、後から攻撃的になったり、ストーカー化したりする可能性があります。

淡々と事務的に会話をし、部分謝罪の上話を早めに終わらせましょう。一度寄り添ってしまい話が長引いてしまった場合は、嘘をついてでも何か理由をつけて一旦電話を切り、別のスタッフからお断りの連絡を入れる方が良いです。

<モンスタークレーマー>

モンスタークレーマーは、特に対応に時間を取られてしまうので、早めに通常のクレーム対応から、『モンスタークレーマー対応』へと意識を切り替えることが大切です。具体的には、「お客様」という認識から「〇〇さん」という風に対等に話をしていく姿勢が必要となってきます。

モンスタークレーマーは、常に特別対応を要求してくるので、その要求を認めず、諦めさせることが重要となってくるためです。

相手の態度に怯んでしまい、最初に譲歩してしまうとクレーマーの思う壺なので、まずは冷静にヒアリングをした後状況整理を行い、相手の具体的な要求を理解しましょう。そして、社内ですぐに情報共有をし、クレーム対応の方針を決めます。

ホテル側に落ち度がある場合は、その落ち度のレベルにあった部分謝罪・合理的な対応を行います。どこまで法律の範囲内で対応が求められているかを把握した上で、判断を行いましょう。

モンスタークレーマーの対応では、複数名のチームで対応したり、クレーム対応や業務全般の知識・経験が豊富な熟練スタッフに任せたりすることで、1人のスタッフに長々と攻撃させることを防ぎます。電話が鳴り止まず業務に支障が出ている場合は、最悪着信拒否をするしかありません。

また、今後の宿泊を安易に受け入れないのもポイント!次に紹介する、予約サイトを活用し、問題・違法行為を報告する方法をぜひ取り入れてみてくださいね。

5. 予約サイト活用!クレーマーの宿泊をお断りする方法

<Booking.com>

Booking.comの管理画面から、ゲストの問題行為を報告することができるのをご存知ですか?予約数の多いサイトだからこそ、ゲストとの問題が起こった時に頼れるのでとても助かる機能です。

①該当ゲストの予約ページを開く

②画面右側にある、「ゲストによる不正・違法行為を報告」をクリック

③該当する理由を選択し、詳細を記入する

④ページ下部にある、追加のリクエストで「今後の宿泊を拒否する」にチェックを入れる

<Airbnb>

Airbnbも管理画面の予約ページから迷惑行為を報告することが可能です。

滞在中ゲストの場合

①該当の予約ページ右側にあるタブをスクロールダウンし、「安全上の問題に関してサポートを受ける」をクリックする

②Airbnbとのチャットページに飛ぶので、該当する問題をクリックして相談する

滞在後の場合

①予約ページの右側タブをスクロールダウンし、「このゲストを報告」をクリック

②該当する理由を選択し、Airbnbに送信する

レビューでゲストに低評価をつける

Airbnbは、ゲスト・ホストともにチェックアウト後13日間であればレビューの投稿が可能です。双方がレビューの投稿を完了した時点で、リスティングにレビュー内容が掲載されます。

クレーマーに限らず、部屋の使い方が異常に汚かったお客様など、問題行為があった場合はレビューを通して公正に評価しましょう。またレビュー記入の最後に、「〇〇さんを他のホストにおすすめしますか?」と出てくるので、問題があったゲストは「いいえ」をクリックしておきましょう。

<楽天トラベル>

2023年12月末より、楽天トラベルに「ユーザー報告フォーム」が設置されました。 https://travel.faq.rakuten.net/form/userask

ゲストの問題行為があった場合に、ぜひ活用してみてください!報告をすると、楽天トラベルの判断に基づき、お客様への警告・楽天トラベルの利用停止、予約の取消対応が可能な場合があります。

特に過去にモンスタークレーマーとなり、業務に支障が出たゲストなどは、チェックアウト後すぐに報告しておき、今後の宿泊を受け入れないように工夫しておきましょう。

クレーム対応は毎回エネルギーを奪われ大変な業務ですが、同時にサービスの改善に繋がったり、ホテルの評価を挽回するチャンスになったりする可能性もあります。

ですが、中にはクレーマーが言いたい放題で手に負えない場合もあるので、そういう時はうまく予約サイトの報告機能を活用して、厄介なクレーマーは受け入れないように対策してみてくださいね。