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沖縄の宿泊業のトレンド:2023年の振り返りと2024年の予測

最終更新日 : 2023年10月31日

気がつけば今年も残すところ2ヶ月!2023年はコロナ禍も終わり、本格的に観光業が盛り上がってきたました。そこで本日は現在の沖縄の宿泊業を取り巻くトレンドと2024年の動きについて予測してみます。年末年始にこのネタを書くと、色々なブログとかぶって注目されないので、中途半端な今の時期に考えてみます。

2023年の沖縄宿泊業の振り返り

コロナの5類移行

2023年に起こった大きな事といえば、コロナの5類移行でしょう。3月頃から様々な規制が緩和され始め、5月8日には正式に5類に移行し、殆どの規制が撤廃されました。

宿泊業においても消毒液の設置や従業員のマスク着用等が求められなくなり、需要喚起に一役買っています。

3月以降は入域観光客数も月を追うごとに大きく増えてきています

令和5年8月入域観光客統計概況(速報)(令和5年9月25日発表)

今年の8月は、台風6号が過ぎた後にまた戻ってくるという暴挙により若干落ち込んだ為、あまり参考になりません。

比較しやすくする為に、今年の7月とコロナ前の2019年7月を比較すると下記のようになります。

国内客外国客合計
2019年7月660,800302,800963,600
2023年7月663,600114,900778,500
増減率100.42%37.95%80.79%

全体で見ると、コロナ前の8割程度まで回復していますが、内訳を見ると

  • 国内客 → コロナ前と同等水準
  • 外国客 →  コロナ前の約4割

インバウンドはまだまだ伸びしろがあるのが見て取れます。

円安の進行

歴史的な円安も今年のトレンドです。

コロナ前の2019年は$1=¥110前後でしたが、現在は$1=¥150近くにまで円安が進んでいます。

[東京海上アセットマネジメントの為替情報]

https://www.tokiomarineam.co.jp/market/rate/usd.html

インバウンドゲストからすると、当時と比較して、日本全国全ての商品が例外無しの3割引セール状態なのです。

「歴史上、最安値付近の日本に今のうちに行っておくか!」となる外国人の動向も容易に想像できます。

宿泊業界が直面した主な課題

ホテル・民泊業界が直面した課題といえば大きく2つ。燃料費高騰と人材不足

燃料費高騰はロシア、ウクライナ危機に端を発する電気代の高騰が大きな所です。夏場の冷房使用による高額な電気代が宿泊業界の利益を圧迫しました。

また、燃料費の高騰を理由にリネン業者がこぞって値上げをしてきたのも非常に宿経営を圧迫します。値上げだけならまだしも、「小規模ホテルにはリネンの配送をやめるので自分で取りにきてね」というリネン会社も増えました。

合わせて、コロナで人材をカットした後、急激に需要が回復していますが、それに人材が追いついていません。一度業界を離れた人材はなかなか戻ってきてくれません。またいつ切られるかわからないという不安もあります。

特に不足しているのが清掃員です。清掃ができない為に予約を絞るという悲しい判断を迫られるホテルもあります。

これまでのように稼働率を上げる戦略よりも単価の高い予約や、連泊で清掃、リネン交換不要な予約を取り込む必要が出てきました。

また、人材が不足するならそもそも人を無くしてしまおう!という発想から、ホテル自体を無人化、省人化して運営する施設も増えてきています。

2024年の沖縄宿泊業の予測

那覇空港第二滑走路

コロナで忘れているかもしれませんが、那覇空港の第二滑走路の共用開始は2020年3月。

そう、2019年は滑走路1本で頑張っていたのです。航空会社が便を増やしたくても増やせないという状況だったのです。

滑走路が2本になる事で離発着回数が1.8倍になると試算されています。

冒頭で下記のコロナ前後の沖縄県入域客数の比較表をご紹介しました。

国内客外国客合計
2019年7月660,800302,800963,600
2023年7月663,600114,900778,500
増減率100.42%37.95%80.79%

コロナ前後の比較では国内客は数字上は頭打ち感がありますが、便数の大幅増を加味するとまだまだ伸びてもおかしくないでしょう。

特に円安で日本人は海外に行きにくい状況ですので、沖縄が海外旅行の代替選択肢になる可能性もおおいにありえます。

インバウンド

今後のトレンドはやはりインバウンドでしょう。

  • 入域数→まだまだコロナ前の4割以下
  • 円安→日本大バーゲンセール中
  • 高単価→インバウンドは大人数の傾向がある為、客室単価が上がる
  • 清掃員不足→連泊の多いインバウンドで長期予約の取り込み

インバウンドに多い長い滞在になると必要とされるのがキッチンと洗濯機・乾燥機です

コンドミニアムホテルや民泊は基本的にこれらが完備されているので需要にマッチしているといえるでしょう。

また、インバウンドは日本人に比べ大人数になる傾向がある為、一棟貸しの民泊も今後需要が高まると予想されます。

再来年2025年までにコロナ前の3,200万人のインバウンドを超えるという閣議決定もなされていますので政府の後押しもあり急激な伸びは間違いありません。

まとめ

今年の宿泊業界の主なトピックは下記となっています。

  • コロナの5類移行
  • 円安の進行
  • 燃料費高騰
  • 人材不足

それを踏まえた今後のトレンドは下記

  • 那覇空港第二滑走路による離発着回数の大幅増加
  • インバウンドの急激な回復
  • 宿泊人数が多いインバウンドに人気の広めの宿
  • 清掃員不足に起因する連泊・長期予約の取り込みの必要性
  • コンドミニアムホテル、民泊の需要増
  • 人材不足による宿泊施設の無人化・省人化

これからホテル、民泊を始める方はこれらのトレンドを軸に計画を進めるとよいでしょう。