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事前決済・現地決済の割合 無人ホテルにする事で失う現地決済ゲストはどのくらい?

最終更新日 : 2021年8月30日

ホテルを無人化するにあたり、気になるのが現地決済を希望するゲストはどうなるのかという点です。ホテルにスタッフを置かない為、全て事前決済にするか、高額な現地決済機を置くかで迷われているホテルも多いでしょう。そこで本日は、事前決済と現地決済の割合がどの程度なのかを調査し、損益分岐点がどのあたりかまで掘り下げていきます。

事前決済と現地決済の割合

事前決済と現地決済の割合は、ホテルによっても大きく異なる上、OTA、エリアによっても違って来るでしょう。その為、正確な数値というのは把握しにくいという前提で読み進め下さい。

今回調査したのは、那覇市内の現地決済と事前決済の両方を販売している施設です。1施設のみだと数字がブレる為、複数の施設の平均値を出してみました。

2021年8月 那覇市 事前決済・現地決済割合

約4割のゲストが現地決済を選択しています。

クレジットカード保有率

ホテルを無人化してしまうと、4割の現地決済の方を切り捨てる形になってしまいそうですが、必ずしもそうではありません。

現地決済を希望される方の中には2種類いて、

①クレジットカードを持っていない為にそもそも事前決済が出来ないゲスト

②クレジットカードを持っているけど現地で決済したいだけのゲスト

に分けられます。①のゲストは無人化する事で切り捨てる形になりますが、②のゲストは無人化しても予約を取る事が可能です。

では①のクレジットカードを持っていない方というのはどのくらいいるのでしょうか?

JCBが2021年2月18日に発表した調査によると

クレジットカードの保有率は「86.6%」

となっていますので、クレジットカードを持っていないのは13.4%

コロナで非接触が求められる昨今、キャッシュレスはさらに進んでいくでしょう。事実、同調査によると年々保有率は高くなっていて、2020年は過去最高となっています。

無人ホテルにする事で減る予約と増える予約

クレジットカードを保有していない13.4%の方は事前決済のみの無人ホテルを予約出来ない為、その分予約が減る可能性はありますが、逆に

無人化による非対面、非接触による感染症対策を売りにする事で増える予約もあります。

また、スタッフを24時間配置するのであれば問題無いのですが、特定の時間のみの配置だと、スタッフ帰宅後は予約を取り込め無い為、売止めにする必要が出てきます。

これが無人ホテルであれば、深夜まで販売、チェックインが可能になる為、その分の予約が取り込めます

国内最大手の楽天トラベルのデータによると、

沖縄県ビジネス系ホテルの当日予約割合は全体の12.08% にも登ります

どの程度が夜間の予約かまではデータがありませんが、経験上、そこそこの数いらっしゃいます。

人件費と比較したの損益分岐点

以上を元に、ホテルを無人化する事で失うゲストを13.4%

増えるゲストを仮にその半分の6.7%とすると、差し引き6.7%売上が減る事になります。

この数字を元にシミュレーションをしたのが下記の表になります。

売上高と無人化による機会損失 

売上高機会損失額
¥500,000¥33,500
¥1,000,000¥67,000
¥2,000,000¥134,000
¥3,000,000¥201,000
¥4,000,000¥268,000
¥5,000,000¥335,000
¥6,000,000¥402,000
¥7,000,000¥469,000
¥8,000,000¥536,000
¥9,000,000¥603,000
¥10,000,000¥670,000

※機会損失額を売上高の6.7%で計算

この機会損失を防ぐ為に、スタッフを配置する場合を考えてみます。

スタッフを配置する時間帯を下記の3パターンを想定してみます。

時間帯別 スタッフ人件費 

項目勤務時間人件費/月
人件費115時〜20時¥210,000
人件費29時〜20時¥390,000
人件費39時〜9時¥720,000

※時給1,000円で計算

これを元に損益分岐点をシミュレーションしました。

※スマホの場合は横にして下さい

損益分岐点シミュレーション

売上高機会損失額人件費1人件費2人件費3
¥500,000¥33,500¥210,000¥390,000¥720,000
¥1,000,000¥67,000¥210,000¥390,000¥720,000
¥2,000,000¥134,000¥210,000¥390,000¥720,000
¥3,000,000¥201,000¥210,000¥390,000¥720,000
¥3,134,328¥210,000¥210,000¥390,000¥720,000
¥4,000,000¥268,000¥210,000¥390,000¥720,000
¥5,000,000¥335,000¥210,000¥390,000¥720,000
¥5,820,896¥390,000¥210,000¥390,000¥720,000
¥6,000,000¥402,000¥210,000¥390,000¥720,000
¥7,000,000¥469,000¥210,000¥390,000¥720,000
¥8,000,000¥536,000¥210,000¥390,000¥720,000
¥9,000,000¥603,000¥210,000¥390,000¥720,000
¥10,000,000¥670,000¥210,000¥390,000¥720,000
¥10,746,269¥720,000¥210,000¥390,000¥720,000

損益分岐点だけを抜き出すと下記になります。

項目勤務時間損益分岐点売上高
人件費115時〜20時¥3,134,328
人件費29時〜20時¥5,820,896
人件費39時〜9時¥10,746,269

上記表の損益分岐点売上高を

  • 上回る場合はスタッフを配置した方がお得
  • 下回る場合は無人化した方がお得

となります。

無人運営委託をする場合

無人運営を自社で完結する場合はこれまで説明した分で問題ありませんが、無人運営を委託する場合は委託費用が別途かかってきます。その委託費用を計算すると損益分岐点は下がってきて、スタッフ置いた方がいいのでは?となりますが、2点重要な点があります。

時間外対応

自社スタッフにて24時間対応するとなると「人件費3」になり高額になります。

深夜時間帯は人件費を払わずにスタッフの携帯に電話転送して対応させる事も、その是非はさておき経営判断としては可能でしょう。それが原因でスタッフが辞めてしまってはそもそもホテル運営が出来ません。

無人運営を委託すると、24時間対応頂けますのでその点はスタッフに無理を強いる事もなくなるでしょう

売上増コンサルティング

そして何より、無人運営委託会社は、単純に無人運営対応をするだけでは無く、売上を上げるコンサルティングも付いてきます。受託する企業も、受託費用は売上連動型の為、必死です。

10%〜15%の運営委託費用以上の売上げ増が見込めるはずです。

自社でやるより売上げも上がり、人件費も抑えられ、結果的にお得なのです。

最後はどうぜポジショントークだろ! となってしまいましたが(笑)一度ご自身の施設に当てはめてシミュレーションしてみて下さい。多くの場合、中小宿泊施設では無人運営を委託する方が収益は残りますので一度検討してみて下さい。