公開日: 2024年5月24日
最終更新日 : 2024年5月24日
クレーマーの上位互換、「カスハラ」。クレームを通り越して度を越した態度でホテルや飲食店で猛威を振るう人の事を差します。昨年から旅館業が改正されてこのようなゲストをホテル側から宿泊拒否できるようになっています。今日は実際に宿泊拒否を行った実例のご紹介です
改正旅館業法 宿泊拒否
以前は、旅館業を取得した宿は、伝染病等にかかっている事が明らかに認められる場合以外は宿泊者を拒む事ができませんでした。しかし、宿泊業に限らない昨今のカスハラの異常さを鑑みて2013年にこれが改正されました
この改正によって、宿泊施設に過重な負担となり、ほかの宿泊者に対する宿泊サービスの提供を著しく阻害するおそれのある要求を繰り返す「迷惑客」の宿泊を拒むことができるようになったのです。
具体的には政府ウェブサイトにも下記の7つの例が記載されています
新たな宿泊拒否事由に該当する具体例
① 宿泊しようとする者が、宿泊サービスに従事する従業員に対し、宿泊料の不当な割引や不当な慰謝料、不当な部屋のアップグレード、不当なレイトチェックアウト、不当なアーリーチェックイン、契約にない送迎など、他の宿泊者に対するサービスと比較して過剰なサービスを行うよう繰り返し求める行為
② 宿泊しようとする者が、宿泊サービスに従事する従業員に対し、自身の泊まる部屋の上下左右の部屋に宿泊客を入れないことを繰り返し求める行為
③ 宿泊しようとする者が、宿泊サービスに従事する従業員に対し、特定の者にのみ自身の応対をさせることや、特定の者を出勤させないことを繰り返し求める行為
④ 宿泊しようとする者が、宿泊サービスに従事する従業員に対し、土下座などの社会的相当性を欠く方法による謝罪を繰り返し求める行為
⑤ 泥酔し、他の宿泊者に迷惑を及ぼすおそれがある宿泊者が、宿泊サービスに従事する従業員に対し、長時間にわたる介抱を繰り返し求める行為
⑥ 宿泊サービスに従事する従業員に対し、対面や電話、メールなどにより、長時間にわたって、又は叱責しながら、不当な要求を繰り返し行う行為
⑦ 宿泊サービスに従事する従業員に対し、要求する内容には正当性があるが、暴力や暴言など、要求方法に問題があるものを繰り返し行う行為
※身体的な攻撃(暴行、傷害)、精神的な攻撃(脅迫、中傷、名誉毀損、侮辱、暴言)、土下座の要求など
ホテルや旅館に泊まる前に知っておきたい「旅館業法」改正のポイント
宿泊拒否、発動
弊社でも先日初めて「宿泊拒否」を発動した。カスタマーハラスメントです。
該当行為は以下2点
☓ 不当な返金要求を繰り返す
「上階がうるさく眠れなかったので一部返金しろ!」と頻繁に要求
上階ゲストが就寝しているのに子供の走り回る音がうるさいとクレームしてきたり、上階にゲストの滞在がないのに上階がうるさいとキレてクレームしてきたり、もうめちゃくちゃです。
☓ 暴言を繰り返す
スタッフの対応が気に入らず、スタッフを叱責。テレビドラマでヤ◯ザが発するような口調で。しかも何度も(録音済)。本当に恐怖を覚える程の罵声、怒号です。
他にも別の客室に乗り込んで、ゲストに直接うるさいとクレームをいれたりして、他のゲストに危害を加える可能性もありました。
滞在中四六時中キレてるゲストで、あれだけ文句言って帰っていったにも関わらず懲りずにまた予約をしてきたので宿泊拒否したという流れです。
冒頭でご紹介した改正旅館業法により、宿側はカスタマーハラスメントに当たる特定の要求を行った人の宿泊を拒むことができるようになっています。
今回の宿泊拒否は、「新たな宿泊拒否事由に該当する具体例」でも紹介されている7つのうち、下記の①と⑦に該当
① 宿泊しようとする者が、宿泊サービスに従事する従業員に対し、宿泊料の不当な割引や不当な慰謝料、不当な部屋のアップグレード、中略 過剰なサービスを行うよう繰り返し求める行為
⑦ 宿泊サービスに従事する従業員に対し、要求する内容には正当性があるが、暴力や暴言など、要求方法に問題があるものを繰り返し行う行為
このようなゲストは、騒げば自分の主張が通ると思って育ってきたような方でしょう。そして実際に通してきたんだと思います。
他のホテルでも今後同じ事をさせない為にも、そしてなによりスタッフ、他のゲストを守る為にもこのようなゲストには毅然と対応していきます。
拒否方法
予約が入ってきた時点で、「前回の行いから、改正旅館業法に則り、宿泊拒否致します」とストレートにお伝えしました。
これでキャンセルしない場合は、予約サイトに相談して予約をキャンセルしてもらうといいでしょう。事情を説明すればキャンセルしてくれるかと思います。
注意したいのは、後日また予約してくる可能性がある点。知らずに宿泊されてしまったらまた同じことを繰り返す事になります。
チェックイン当日に予約が発覚して宿泊拒否して出ていってもらうと、その分の空いた客室分が損害になる為、予約が入った時点で拒否したいところです。かといって予約通知の名前を全てチェックし続けるのは現実的ではありません
そこでオススメなのがメールのフィルター機能です。Gmail等、ほとんどのメールにはフィルター機能があります。このフィルター機能で該当ゲストの名前をフィルターして別のアドレスに自動転送をかけておくのです
例えば
・件名に「松根一義」「Kazuyoshi Matsune」 を含む場合
・◯◯◯に転送する
という設定にしておく事で普段予約通知を受けていないアドレスに予約通知が届くので気づく事ができます
カスハラゲストで疲弊しない為にも、あまりに酷いゲストは事前にシャットアウトしましょう。こういう事例が広く知れ渡る事でカスハラゲストにも抑止力が働いて大人しくなってくれることを祈るばかりです。
元Booking.com アカウントマネージャー。数百以上の宿泊施設にウェブ販売をアドバイス。アパートメントタイプから、ビジネス・リゾートホテル、グローバルチェーンまで幅広いタイプの宿泊施設の販促をサポート。OTAの裏事情まで熟知したノウハウでホテル・民泊のウェブ集客をお手伝いします。