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Booking.comの未払い問題!元社員がその全貌を解説!【追記有】

最終更新日 : 2023年11月6日

ここ数日、Booking.comからホテル・民泊への支払いが遅延しているという報道が世間を騒がせています。「支払い遅延」というと財務体質の悪化を心配する声も聞かれますが実態は異なります。そこで本日は元Booking.com社員である著者が報道内容について踏み込んで解説していきます。

報道内容

下記で動画も含めて確認できます。

【独自】人気の宿泊予約サイト「ブッキングドットコム」で支払い遅れ 「入金されない」訴え相次ぐ 運営会社の回答は

報道内容をざっくり解説すると下記

  1. 支払いの遅延:ブッキングドットコムを通じてのホテルや宿泊施設への宿泊費の振り込みが遅れている問題が浮上。
  2. 多くの施設が影響:支払いの遅延により、複数の宿泊施設で給料の支払い遅れや銀行への返済に影響が出ている。
  3. 具体的なケース:例として、箱根の温泉旅館「箱根藍瑠」では、ブッキングドットコムからの6月末の宿泊料金約1500万円が期日に振り込まれていない。
  4. 運営側の説明:ブッキングドットコムは「財務システムのメンテナンスの影響」と説明。しかしながら、詳しい情報は提供されていない。
  5. 運営会社の公式回答:ブッキングドットコムはシステムの計画的なメンテナンス及び再開を実施。しかし、予期せぬ技術的な問題で一部の施設への支払いに時間がかかっているとのこと。

支払い遅延の実態

記事内でも触れられている通り、今回の遅延は7月に計画されていた財務システムメンテナンスの影響です。

下記が事前にBooking.comから施設宛に案内されていた案内です

約1ヶ月前の6月9日には案内されていますので、事前に計画されていたものであるのがわかります。

当初の予定では、8月2日には支払い予定だったのが、8月18日現在でも支払いが完了していないようです。

「1ヶ月の遅れ」と報道されていますが、実際にはまだ2週間の遅れです。 → 現在では3ヶ月以上遅れている施設もあり、混乱を極めています。

多くの施設が影響しているような報道ですが、遅延が発生しているのは一部です。

正確な数は発表されていませんが、弊社では20件以上の施設をサポートしていて、支払い遅延は5件でした。

ざっくり20%前後の施設が影響を受けていると推測されますが、システムが安定するまでは安心はできません。毎月しっかり支払がされているか確認した方が良いでしょう。

支払いが遅れている施設でステータスが「保留中」だったのが、8月18日時点で「振込手続き完了:2023年8月16日」になっていました。

しかも何故か7/31までの分だけでなく、8/16までの分も完了。これもエラー?

また、Booking.com→施設 への支払いが遅れているばかりでなく、施設→Booking.comへ支払う手数料の請求書発行も遅れている為、施設側はBooking.comへの手数料を支払えていない事例も発生。

復旧の見通しについてBooking.comに問い合わせたところ、8月下旬には落ち着くという回答でしたが、システム不具合ですのでさらに遅れる可能性もありそうです。

→ 3ヶ月以上経過した2023年10月現在まだ未払いが続いている施設もあります

2023年10月現在では、

  • 7月分が未払いなのに8月分は支払われている
  • 9月分が未払いなのに10月分が2〜3日分だけ支払われている(通常は支払は1ヶ月単位)

等、混乱を極めています

また、施設管理画面には下記のような表記も

おたくが管理でききんと、どこが管理できんねん!!!(笑)

Booking.comは潰れるの?

支払い遅延というと、倒産を連想される方もいますが、その可能性は限りなく低いと思います。

理由はBooking.comの好調な業績と、事前決済という資金の流れです。

報道でも、ある施設では全体の予約の50%がBooking.com経由と説明しています。そんな施設はザラで、それほど集客力のあるサイトです。

過去1年間の株価を見てもわかるように、業績への期待から株価も右肩上がりです。

参考)Yahoo!ファイナンス 2023年8月18日現在

また、以前はBooking.comは現地決済が主流でしたので、施設側から手数料を回収できないと売上が立たない形態でしたが、現在は事前決済が多数を締めており、宿泊費はゲストから回収済みです。回収不能や資金ショートという事ではありません。もしそうだとしたら、全施設に対して遅延が発生しているはずですが、実際には一部施設への遅延です。

売上規模や利益率をみても同じ外資のExpediaやAirbnbよりも良い経営をしていますので経営難で支払い遅延、倒産等という事は考えにくいでしょう。

下記で最新の2023年Q3(7〜9月)の業績比較もしていますので参考にどうぞ。

Bookigが潰れというのなら、その前にE社やR社の方が危ないというのが財務諸表からわかります。(どちらも潰れるレベルではありませんのでご安心ください)

コロナ真っ只中に外資OTAの財務状況を比較した下記もご参照ください。コロナでも唯一利益を出していたのがBooking.comです。危機にあってもうまく経営しているのがわかります。

今後のBooking.comとの付き合い方

結論からいうと、販売継続した方が良いでしょう。

「こんな事になるならBooking.comの利用は考えないと」という施設もあるようですが、弊社としては、むしろ他社がそうしてくれた方がライバルが減って、より予約が増えそうです。

大規模ホテルなら「リスク分散でOTA比率をバランス良く」というのも一つの戦略ですが、中小ホテルや民泊でそれをやってしまうと、予約が分散してサイト内SEO的に大きくマイナス。 割り切って1社、2社に注力する方が結果的に予約は増えます。(テクニカルな内容なので詳細は省きます)1,2社を選ぶ場合には、Booking.comは集客力という観点から外す事ができないのです。

IT企業なのでシステムエラーはつきものです。めったに取り組む事がない財務システムのメンテナンスなのでこれくらいのエラーは仕方ないと思って見守っていきたいと思います。

支払いがあまりに遅れている為、サポートセンターのオペレーターにしつこくクレームをいれている方もいるようですが、全くの時間の無駄です。考えてみてくだだい。支払遅延に対してサポートセンターの方がどうこうできるものではありません。どの企業でもそうでしょう。彼ら/彼女らは、施設側から入った声をシステムを通して該当部署にあげることしかできません。クレームをいれるだけでは何も変わらないのです。

ストレスを弱いものにぶつける暇があったら別の方法を考えましょう。

最近の動向 2023年10月現在 【追記1】

騒動が始まってからしばらくたちますが、その後未払い問題はどうなったのでしょうか。

結論からいうと、まだ続いています。

7月分が未払いなのに8月分は支払われていたりして、かなり混乱しているのが伺えます。

Booking.com側に問い合わせをしても、毎回下記の決まった定型文が返ってくるだけで全く相手にしてくれません。毎回コピペ返信です。

弊社もいまだにBooking.comからの50万程の未払いがあり、問い合わせしています。

毎回コピペ返信ばかりされて腹が立つので、別施設のBooking.comへの手数料120万円位を未払いにして対抗してやりましたw

お互いの未払い分を「相殺せいっ!」 って言ったら返信来なくなりました。(笑)

未払い被害は全国にも同様の施設があり、業を煮やした施設が下記のように集団交渉、集団訴訟の仲間を募集するまでになっています。

1施設だけでは相手にされませんので、仲間を募って戦うというのは良い戦略です。

お困りの施設様は一度下記に連絡してみてはいかがでしょうか。

その後、本当に集団訴訟で動きだしてきました。

宿泊予約サイト「Booking.com」宿泊費未払い相次ぐ 施設のオーナーらが集団提訴へ

これくらいやらないと、大企業は延々とのらりくらり動かないので良い傾向かと思います。

問題化しないと本社も急いで動いてくれませんのでもっと大々的に報道されてくれると良いですね。

早く問題が解決してしっかり集客に集中してくれる事を祈るばかりです。

Booking.com公式発表【追記2】

2023年10月10日に公式サイトで下記コメントを発表しています

パートナーの皆様、お客様、システムにとって、引き続き高レベルのオンライン上の安全性とセキュリティを確保するため、新規の金融・決済プラットフォームへ移行する過程で、必要不可欠なシステム改善を実施する必要性があり、計画に沿ったメンテナンス作業を行っておりましたことを受けたものでした。大半の支払い作業はすでに再開されておりますが、予期せぬ技術的な問題が発生したため、一部のみのパートナー各社の皆様におかれまして、支払いの遅延が発生しており、現在緊急に対応させていただいております。

中略

緊急サポートが必要なパートナー各社の皆様におかれましては、以下が連絡先となります。partner.payments@booking.com

ブッキング・ドットコム、 宿泊施設への支払い遅延について、お取引先の皆様へ

多くの連絡が入っていて対応に時間がかかるかと思われますが、お困りの施設は連絡先アドレス宛にメールしてみてはいかがでしょうか。

9月分の支払い【追記3】

9月チェックアウト分の支払いは通常は翌月月初=10月月初になります。

10月11日時点で1施設だけ入金がありました。

ただし、通常の入金ではなく、何故か今回のみ「海外送金」という形態で、妙な処理があり、「海外送金手数料」名目で2,000円が差し引かれての着金です。

尚、通常通り問題無く入金が確認できているとの報告もあり、まだまだシステムが安定していないのが伺えます。

9月分 着金完了【追記】

9月分の宿泊料が10月11日〜13日にかけて振り込まれ、全ての施設で着金が完了しました。

11日、12日は通常と異なり海外送金という名目で受取手数料が2,000円かかっていましたが、13日着金分は以前のようにドイツ銀行からまとめて入金され、受取手数料も不要となりました。

海外送金は時間差で着金していたので、恐らく人力で振り込んでいたものと思われます。本日のドイツ銀行分からは日付が変わる真夜中に一括で振り込まれていたのでシステム処理でしょう。このままシステムが安定してくれると信じています。

また新しい情報が入り次第共有致します。

まとめ

今回の騒動をまとめると

  • 未払い問題はまだ若干続いている
  • 原因は財務悪化ではなく、システムトラブル
  • Booking.comが潰れる可能性は限りなく低い
  • Booking.comでの販売を停止する必要はない
  • 時間の経過と共に解消される

元社員だからBooking寄りなのだろうという意見もあるかとは思いますが、中にいたからこそ変な会社では無いのをよく知っています。

実際に弊社がサポートする施設で未払いがあった際も弊社が数百万円分建て替えました。確実に回収できる自信がある為です。

騒動が大事になっているのでシステム部署もかなり急ピッチで復旧に動いていると思われます。通常運転も間もなくでしょう。

※著者は2019年にBooking.comを退職済みの為、記載した内容は全て公開されている情報となります。

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