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【沖縄県】最近のマーケット状況を各種公開データを元に分析してみた

最終更新日 : 2020年10月27日

最近は宿泊の予約数が明確に伸びてきています。でも実際には市場全体はどうなの?気になっている方も多いかと思います。そこで本日は沖縄県の入域客数、航空便数等、公開されている各種指標から現在の沖縄県内の宿泊需要がどうなっているのかを分析します。極力、「なんとなく回復している」というのは抜きにして具体的なデータをご紹介致しますので、これを元にご自身で考えてみて下さい。

沖縄県の観光客数 9月

入域観光客数

9月の沖縄県入域観光客数が10月26日に発表されています。

令和2年(2020)9月 入域観光客数概況

前年比で7割減少していますが、前月の8月よりは若干増えています。緊急事態宣言が9月5日までだったのも影響しているはずです。

7月と比べるとまだ少ない状態ですね。

地域別構成比

地域別の割合はこちら

9月は東京がGoToから除外されていたにもかかわらず過半数を占めます。10月以降は東京除外も解除されている為、さらに増える見通しです。

航空便数 9月

沖縄県発表の数字を見てみます。

LCCは数値非公表ですが、JAL ANAだけでも大まかな傾向はつかめます。

航空旅客輸送実績 9月

項目8月 前年比9月 前年比
輸送実績24.80%36.1%
提供座席77.20%52.8%
利用率90.70%80.9%
令和2年9月(月間)の航空旅客輸送実績(令和2年10月26日発表)

9月の輸送実績は前年比36%でした。

提供座席数は昨年の半分で、利用率は80%

利用率だけ見ると高い為、機内も混んでいて、航空機に搭乗すると需要が大幅に回復してきている錯覚を覚えますが、実際には提供座席数を減らして稼働を上げてきたと見るべきでしょう。

エリア別輸送実績

エリア別で見ると少し違った景色が見えてきます。 沖縄本島、石垣に比べ、宮古島が突出して良いのです。

エリアJAL 前年比ANA 前年比
羽田 – 那覇41.4%33.4%
羽田 – 石垣78.2%53.7%
羽田 – 宮古100.1%64.8%
令和2年9月(月間)の航空旅客輸送実績(令和2年10月26日発表)

※JALの石垣、宮古はJTA便

JALの宮古島に至ってはなんと昨年超え!!!大分回復してきているのが伺えますね。

那覇便よりも離島便の方が回復が早い傾向です。

楽天トラベルデータ

次はOTA側のデータも確認しておきます。OTAの中では最も予約数の多い楽天トラベルの10月24日時点でのオンハンドデータを確認してみます。(入域客、輸送実績は9月のデータですが、OTAデータは10月の数値になります。ご注意下さい)

10月から12月のデータを記載しますが、今年はコロナの影響で昨年と比べ予約が極端に直近化している為、先のデータはかなりブレると考えて良いでしょう。正確なの間もなく終了する当月の10月くらいかと思われます。

那覇市 2020年 泊数

 前年比
10月-8.67%
11月-16.70%
12月-15.64%

那覇市 2020年 人数泊

 前年比
10月-15.32%
11月-11.43%
12月-14.96%

10月の泊数と人数泊を比べると、泊数の落ち込みは一桁ですが、人数泊の落ち込みはその倍にもなるという事です。これは、1予約あたりの人数が減った事を意味します。グループよりも1名や2名等の少人数での宿泊の割合がが増えたという事です。これもコロナで大人数が敬遠される事の現れでしょう。

実際に一棟貸しの大型物件ほど苦戦して、シングル、ダブル、ツイン等の予約が活発に動いています。

那覇市 2020年 売上

 前年比
10月-19.53%
11月-17.67%
12月-16.37%

売上を見てみると、10月は2割減。以前に比べ大分回復してきています。これもGoToの恩恵ではないでしょうか。

ただし、泊数に比べて売上のマイナス幅が大きいという事は宿泊単価を大幅に落としているという事でもあります。予約数が増えてきても、単価が上げきれていないという事の現れですね。

ただし、この数字は那覇市内全体でのデータで、大手ホテルも民泊もゲストハウスも合わせた数字です。GoToの恩恵を受けにくい小規模施設はこれより大きく売上を落としているものと思われます。

GoTo予算額

7月22日から1.1兆円円の規模で始まったGoToトラベルキャンペーン。予算終了もしくは来年1月末までのキャンペーンですが、残りの予算はどれくらいなのでしょうか?

政府発表によると、7月22日~9月15日でわずか735億円。全体の6.7%でしかありません。10月からは東京が加わる為、一気に利用額が増えているはずですが、それでもまだまだ予算には余裕があります。

予算次第ではキャンペーン延長の可能性も出てきました。

GoToトラベル 来年春の大型連休まで延長を 公明党申し入れへ

GWまで延長されればしめたものですが、最悪、予定の1月末で終了したとしても、2月からは乗り切れるでしょう。

新型コロナが指定感染症に指定されたのが2020年1月28日。指定感染症は基本的に1年間の指定の為、2月には指定感染症から外れてただの風邪程度の扱いになる可能性があるのです。合わせてプロ野球キャンプシーズンで需要が戻ればなんとか閑散期を乗り切れるのでは無いでしょうか。

今後の見通し

現状では全国のコロナの落ち着きと共に予約の数が力強く伸びてきているプラスの要因と、今後沖縄が閑散期に入っていくというマイナス要因がありますが、他にも考えられるプラス・マイナス要因としては以下があります。

マイナス要因

冬になると再度感染が広がると言われています。そんな中、先日県議員がクラスター感染しました。

沖縄・自民県議クラスター 陽性10人に さらに増える可能性も 2020年10月24日 

このような例が出る度に市場はヒステリックに反応してしまいます。それを受けて再度の自粛要請や緊急事態宣言が出されたりすると大きな影響が出ます。玉城知事の発言だけで一気に予約がキャンセルになったりする為、今後の県の動き次第ではマイナスに作用する可能性も否定できません。

プラス要因

コロナが全員入院の1・2類相当から5類相当に改める事が10月9日に閣議決定され、14日に交付されました。24日施行

新型コロナ入院対象、「高齢」「基礎疾患」に 重症者治療に重点、24日施行

大きく変わる点は2つ

①入院

「感染者は全員入院対象とすることができる。」

       ↓

「高齢者や基礎疾患を有する等の重症化リスクのある者がなど医学的に入院治療が必要な者」「まん延防止のため必要な事項を守ることに同意しない者」

と改められます。つまり,単なる感染者(無症候者)と軽症者は入院対象でなくなります。

②コロナ症例の届け出

届け出は全数

疑似症患者の届け出を入院症例に限ることとする

つまり、

陽性者の全数報告が無くなる

という事。この効果は非常に大きいのでは無いかと思われます。症状も無い陽性者の数を毎日毎日ワイドショーやニュースが大きく報道するから皆なんとなく怖がって旅行どころじゃない。

経済はマインドです。テレビで陽性者の報告が少なくなれば、みんな「コロナ落ち着いたし旅行に行こう!」となるはず。政令が施行される10月24日以降は徐々にその傾向が強くなっていくと期待しています。

まとめ

  • 9月の入域客は前年比7割減
  • 9月の入域客は8月よりも多かった
  • 航空便数は搭乗率は80%を超える
  • 提供座席数は前年比の半分にまで減らしている
  • 大人数より1,2名等の少人数の予約が増えている
  • 大型物件ほど苦戦
  • GoTo予算はまだある
  • 県議がクラスター 再度の自粛要請の可能性もある
  • 陽性者全数報告が無くなる為、旅行マインドが変わる可能性

以上が現在公開されているファクトとなります。

9月は8月よりも入域客が多くなっていましたが、肌感覚では10月はそれ以上に予約が動いていました。そして11月はさらに多くの予約が入ってきています。

少しづつではありますが、宿泊単価を上げて行ける次期になってきているのを感じます。


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