公開日: 2019年11月4日
最終更新日 : 2019年11月5日
最近Airbnbだけでは予約が芳しくないという話をちらほら聞きます。これだけ宿が増えると、流石に競争が激しくなってきて上位の宿以外は予約が入りにくくなるのも頷けます。旅館業を持っている場合、日数制限が無く、登録出来る予約サイトにも制限が無いので、集客力のある複数の予約サイトに登録してリーチ出来る客層を広げるのが王道なのですが、どうもAirbnbだけで完結してしまっている宿が結構あるようなのです。
そこで今日はそんなエアビオンリーの宿がどのくらいあるのかを推測してみたいと思います。
ホテルでは当たり前の複数サイト登録
ホテルや宿の経営に慣れた方であれば複数の予約サイトに登録するのは常識なのですが、Airbnbに登録されている方は結構Airbnbだけという方が少なくありません。ちょっと勿体ない場合もあるかと思います。そういうのは運営代行業者に任せっきりの場合に多いかもしれませんね。予約が芳しくないのであれば、一度代行業者にいくつの予約サイトで集客を図っているのか聞いてみて下さい。
先に言っておくと、予約が問題無く入っているのであれば、Airbnb一本で行くのは正しい戦略だと思います。下手に予約を分散させるよりも、一本に集中させる事で掲載ランクを上げるという戦略もある為です。予約サイトのランキングアルゴリズムを紹介したエントリでもその点には触れています。
ただ、予約があまり入っていないのであれば、複数サイトへの掲載をするべきだと思います。
予約サイトA,B,Cがあったとして、ゲスト全員が全ての予約サイトを利用している事はほぼ無いはずです。複数の予約サイトを利用している人もいれば、一つしか利用していない人もいる、下記の図のような感じになるはずです。
①〜③は1つの予約サイトしか使っていない人
④〜⑥は予約サイトを2つ利用している人
⑦は予約サイトを3つ利用している人
A,B,C全てのサイトに登録していれば、①〜⑦どの顧客にもリーチ出来ますが、Airbnbだけで集客を図っている宿は、Aだけで予約を受け付けている形になっていて、他のBとCの予約サイト利用者を取り逃がしている事になります。
繰り返しますが、
予約が問題無く入っていれば一本で行くのは正しい戦略。
でも入っていないのであればアミを広げて広く集客する必要があるのです。
旅館業を持っているかどうかで戦略は変わる
ここで問題になってくるのは旅館業を持っているのか、民泊新法上の民泊として運用しているのかという点。旅館業か民泊かで、以下の2つの観点から戦略が変わります。
①180日制限
②予約サイトに登録可能かどうか
①の180日制限は民泊新法で最大で営業出来る日数です。(那覇市は地域によって110日〜120日制限も有り)これがある為、民泊はそもそも稼働率が年間で50%を越えようがありません。なので、民泊で50%に近い稼働率であれば一つの予約サイトでも問題無いでしょう。ただし、旅館業を持っているのであれば、規制が無く365日稼働させられるので、より多く予約を取り込めるというより取り込まなければいけません。旅館業を持っている場合はもっと攻めた経営が必要です。
②の予約サイトに登録可能かどうかについては、民泊は登録出来ないサイト(エクスペディアや楽天トラベル、じゃらん等)があるので、民泊の場合は登録出来るサイト(ブッキングドットコム、アゴダ等)を軸に考える必要があります。旅館業を持っていれば特に制限は無いので幅が広がります。
「旅館業を持っているが現在Airbnbのみでの販売で、かつ売上が不調」
という所はまずはブッキングドットコム、エクスペディア、アゴダあたりでの併売から検討してみるといいかと思います。楽天トラベルも販売力はあるのですが、メインユーザーが日本人という事もあって主に週末の予約に偏りがち。恐らく多くの宿は平日を埋めたいという希望があるはずなので、平日需要の多い海外ゲストを取り込める海外OTAを軸にする方がうまく回るはずです。
旅館業☓Airbnbのみの宿はどのくらいあるのか
ようやく本題ですが、旅館業を持っているのにAirbnbのみで販売している宿の数というのはハッキリした数字はもちろんわかりようがありません。旅館業取得済み施設に一軒一軒聞いて回るわけにもいきません。
そこで下記のように推測してみました。
①2019年1月1日〜8月末までの8ヶ月間で
②那覇市で旅館業を取得した施設のうち
③旅館業登録施設名検索でヒットしない施設の割合がどれくらいあるのか
③はAirbnbの特性を利用したものです。Aibnbはサイトで推奨している事もあってリスティング名称が施設名称では無く、「3LDK、駅徒歩2分、Wi-Fi無料の広々リビングルーム」のような施設説明文になっている事が殆どです。そのような名称は旅館料取得時には恐らく利用出来ないので、旅館業登録名称とAirbnb登録名称は全く違うものになっている事が多くなります。
Airbnb以外のサイトはちゃんとした名称をつける事を推奨しているので、旅館業登録名称と同一名称が使われる事が殆ど。なので、
- Airbnbのみの登録の場合は、名称が違うのでヒットしない
- 他サイトに登録している場合は旅館業登録名称でヒットする
という現象が起きるのです。これを利用して調査した所、那覇市の2019年のデータから下記のような数字が出てきました。
①旅館業許可が降りた施設 88施設(918部屋)
②旅館業登録施設名でヒットしなかった数 25施設(57部屋)
Airbnbのみの施設数割合 28.4%
Airbnbのみの部屋数割合 6.2%
※那覇市 2019年1月1日〜8月末
つまり、軒数でいうと登録される3軒に1軒はAirbnbのみの登録(の可能性がある)という事になります。あくまでも可能性です。
結構多い数字にびっくりですね。旅館業を持っているのであれば180日制限も無く、登録出来る予約サイトに制限も無いので、複数予約サイトで走らせる方が売上も上がる場合も多々あるはず。
オススメの体制は?
ではそんな
「旅館業持ってるけどAirbnbのみの販売でかつ最近予約が思うように入らないよ!」
という宿へのオススメをご紹介します。それはズバリ
Airbnbを継続しながらエクスペディア、アゴダ、ブッキングドットコムのいずれかもしくは全て(Aibnbの販売状況による)をBeds24と連動させて併売
かなり具体名まで出しました。これがまずは出だしとしては良いのでは無いかと思います。販売状況により、予約サイトをさらに増やしたり減らしたりしていく方が良いと思います。
無駄に予約サイトを増やし過ぎてもランキングアルゴリズム上あまり宜しくありませんし、かといって予約サイトを減らし過ぎても予約そのものが足りない場合もあるのでそのさじ加減はケース・バイ・ケースとしか言えません。季節によって使い分けるのもアリです。
複数サイトで販売してもBeds24というシステムでオーバーブッキングは減らせますし、B社の現地決済もStripeというシステムで事前徴収が可能なので、それらをうまく利用しながら回せる代行業者を探す必要がありますよという事で今日の授業を終えたいと思います。
元Booking.com アカウントマネージャー。数百以上の宿泊施設にウェブ販売をアドバイス。アパートメントタイプから、ビジネス・リゾートホテル、グローバルチェーンまで幅広いタイプの宿泊施設の販促をサポート。OTAの裏事情まで熟知したノウハウでホテル・民泊のウェブ集客をお手伝いします。