公開日: 2023年7月20日
最終更新日 : 2023年7月20日
人材不足から注目されているホテルの無人運営。スムーズな運営には最適なシステムの選定が必要です。様々なシステムがありますが、今回は業界でも有名なホテル管理システム「ねっぱん」「ねっぱんイージー会計」にスポットを当てて無人運営が可能かどうかを検証していきます。尚、正式には「ねっぱん++(プラスプラス)」ですが、ややこしいのでここでは「ねっぱん」で統一します。
ねっぱんとは
ねっぱんは、楽天トラベル傘下のクリップス社が提供するサイトコントローラーで、以前は楽天トラベル参画施設が無料で利用できていた事もあってかなり多くの施設が導入・利用しています。
2019年から有料化されていますが、無料時代から引き続き利用している施設も多く、2023年現在8,300の施設が利用していて業界No.1をうたっています。
「ねっぱん」はサイトコントローラーですが、ホテル管理システム(PMS)である「ねっぱんイージー会計」とも連携できます。「会計」という名称がややこしいのですが、会計ソフトではなく、入ってきた予約を管理するシステムです。予約カレンダーや顧客管理がメインとなっています。
今回はサイトコントローラーとしてのねっぱんと、ねっぱんイージー会計を用いて無人運営が効率的にできるのかという点についての考察です。業界で最も利用されている為、システムそのままで無人運営ができるのか気になっている施設の参考になるかと思います。
結論「可能」 だが・・・
先に結論をお伝えすると、ねっぱん、イージー会計での無人運営も可能ではあります。
ただし、2つ注意点があって、無人運営に特化したシステムを利用する場合に比べて
- 利益が下がる
- 管理が煩雑になる
という強烈なデメリットがあります。
ひとつずつ解説します。
利益が下がる
ねっぱんとイージー会計で運用すると、自動メッセージが送れないOTAがある為、実質それらのOTAを利用できずにそのOTA分の売り上げが下がってしまうのです。
無人運営にすると、チェックイン方法や滞在時の注意点等、決まった文面をゲストに事前にお送りする必要があります。これらの案内は通常は自動メッセージで設定して業務を簡略化していきます。
ねっぱんにも下記のように自動メッセージ機能というのが存在する為、これを利用する事が可能です。
ただし、スクリーンショットにあるように、利用できるのは
- じゃらん
- るるぶ
- Expedia
- Booking.com
等、特定のOTAに限定されています。(他にも利用可能なOTAはあります)
これらのOTAはゲストの実際のメールアドレスや、仮想メールアドレスがOTAから提供されている為、この自動メッセージ機能が利用できるのですが、集客力の高い楽天トラベルとAirbnbはそれが提供されていません。
その為、メッセージを送るには
- OTAの管理画面にログイン
- 該当ゲスト検索
- 手動でメッセージ送信
という手間がかかってしまうのです。
手動で送る事で伝えたい事を伝える事はできますが、楽天トラベル、Airbnbの予約数を考えると、業務量が非常に多くなってしまい、現実的ではありません。
その為に人員を増やすか、いっそ楽天トラベル、Airbnbでの販売を見送るかという決断になってきます。
いずれにしても利益を減らす事になってしまいます。
業務が煩雑になる
ねっぱん、イージー会計は手動メッセージにも対応していません。
予約後から滞在中、チェックアウト後までゲストとメッセージでやりとりする事は多くなります。通常の管理システムでは、管理システム上ゲストとメッセージをやりとりします。
- メッセージ受信通知から直接管理システムのメッセージボードに飛んで返信
- 予約カレンダーから直接管理システムのメッセージボードに飛んで返信
といった具合です。
それに対して、ねっぱんとイージー会計にはメッセージング機能が無い為、メールかOTA管理画面にログインしてのやりとりとなります。
その為、先にも触れた下記の無駄な作業が発生します。
- OTAの管理画面にログイン
- 該当ゲスト検索
- 手動でメッセージ送信
予約が少ないうちは問題ありませんが、繁忙期にこの作業を毎回繰り返しているとかなりの時間ロスになってしまいます。
無人運営はそもそも無駄な人員、作業を減らす為のものなのに、これだと無駄な作業に手間が取られて大変です。
代替管理システム(PMS)エアホスト
ではどんなシステムをつかったらいいのか。
弊社でおすすめしているのはエアホストというPMSです。無人運営に特化して開発されたシステムだけあって、痒い所に手が届く充実ぶりです。元は民泊管理のシステムでしたが、最近では中小規模の無人ホテル運営に広く利用されています。
楽天トラベル、AirbnbとのメッセージAPI連携にも対応していて自動・手動メッセージ共にシステム上で完結します。
また、サイトコントローラーとPMS機能を併せ持ったシステムですので、別々に選定する必要もありません。
エアホストについては下記で詳しく解説していますのでご参照ください。
エアホストの方が、無人運営に必要なタブレットチェックイン機やスマートロックの選択肢も広く、様々なパターンに対応できます。
ねっぱんは元が一般的な有人ホテル向けのシステムなのでこのような差が出るのは仕方ない事ですが、ホテルDXを進めて効率的に運営される場合にはエアホストの方がおすすめです。
まとめ
今回は、業界シェアの高いねっぱん利用施設が、ねっぱん利用を継続しながら無人運営に移行できるかというテーマで解説しました。
結論は 「可能ではあるが、おすすめはしない」
理由は
- 煩雑すぎて手間が増える
- その為に人員を増やすかOTAを減らす必要がある
- =利益が減る
というものです。
サイトコントローラー、管理システム(PMS)の移行には大きな手間暇がかかる為、容易に決断はできませんが、一度移行してしまえばあとは長期に渡って利益を産んでくれます。移行するなら早い方がよいという事になります。
弊社ではホテル管理システム(PMS)移行のサポートも行っておりますので無人ホテル運営委託をご検討の施設様はお気軽にお問い合わせください。
元Booking.com アカウントマネージャー。数百以上の宿泊施設にウェブ販売をアドバイス。アパートメントタイプから、ビジネス・リゾートホテル、グローバルチェーンまで幅広いタイプの宿泊施設の販促をサポート。OTAの裏事情まで熟知したノウハウでホテル・民泊のウェブ集客をお手伝いします。