公開日: 2022年3月10日
最終更新日 : 2022年3月10日
民泊・バケーションレンタル等の一棟貸し施設でよくある清掃費。大型施設になるほど高額になり馬鹿にならない費用です。一般的になり過ぎてあまり清掃費の事を意識しないオーナー様もいらっしゃるかもしれません。そこで本日は清掃費の見せ方にスポットを当てて解説します!
カゴ落ち理由ダントツ1位 追加費用
OTAの清掃費に関する調査というのはあまり行われていない為、今回はネットショッピングの調査を参考にします。ネットショッピングは巨大市場で成約率を0.1%でも上げられるよう様々な調査が行われていて、非常に参考になるものばかりなのです。
ネット通販で、商品をカートに追加するも購入に至らなかったものを「カゴ落ち」といいます。このカゴ落ちは全体の約70%にも上ると言われ、いかにカゴ落ち率を下げるかが売上に直結してきます。
カゴ落ちした理由を調べると下記のようになります。
参考)46 Cart Abandonment Rate Statistics
ダントツで多いのが、送料等の「追加費用」で2位の2倍!
ネットショッピングには、1,000円の商品なのに送料が1,200円で商品代より高いような極端なものもありますが、それだと誰も購入しません。損をした気になってしまうからです。
同じ商品でも、商品代2,000円、送料200円なら納得してしまいます。合計料金は同じでも、見せ方で変わって来るのです。
宿泊予約での追加費用の例
宿泊予約で「追加費用」というと、追加の清掃費があります。1滞在あたりにかかる費用で、宿泊後に入る清掃の為の費用です。
外部清掃業者に委託していると、物件規模によっては清掃費が1万円前後になってしまいます。それをそのままゲストに請求してしまっていませんか? だとしたらゲストが追加費用が高いと思ってカゴ落ちしているかもしれません。
ネットショッピングの例から推測すると、清掃費が高い為に約半分が成約に至らずに終わっている可能性があるのです。
例えば宿泊代金10,000円 清掃費12,000円なんて物件があると、ゲストは損をした気になってしまうのです。
通常期ではこのような事は起こりにくいのですが、コロナで宿泊代金が極端に下がっている昨今では宿泊費よりも清掃費が高くなる逆転現象がおこっている施設も多いでしょう。
清掃費の見せ方
ではどうすれば良いでしょう?
いくつか例をあげます
①清掃費込みにしてしまう
先程の例でいうと宿泊代金10,000円 清掃費12,000円を、宿泊費のみ22,000円にして清掃費無しにします。
そうすると料金が明瞭で分かりやすいのですが、デメリットもあります。
1泊あたり代金が高くなる為、連泊が取りにくくなるのです。
清掃費別で2連泊の場合
宿泊代金10,000円 x 2泊 +清掃費12,000円= 32,000円
清掃費込で2連泊の場合
22,000円x2=44,000円
ホストにとっては嬉しい連泊が高くなって成約しにくくなってしまいます。連泊数が増える程割高になっていくのです。これだと本末転倒です。
②清掃費を少し安くして宿泊費を高くする 清掃費の乗せ替え
例
宿泊代金10,000円 清掃費12,000円を 宿泊費15,000円清掃費7,000円にする。
清掃費別で2連泊の場合
宿泊代金10,000円 x 2泊 +清掃費12,000円= 32,000円
清掃費を一部宿泊費に乗せ替えた場合
15,000円x2=30,000円 +清掃費7,000円=37,000円
連泊が若干高くなってしまいますが、清掃費と宿泊費とのバランスは悪くありません。
どの程度のバランスにするのかは連泊が入る地域なのかそうでないのかで変わってくるかと思います。
地元客の1泊の宿泊が多い場合には②の清掃費載せ替え型にしてゲストから見た宿泊費と清掃費のバランスを重視。
ビジネス長期滞在需要が多い場合は清掃費を載せ替えたりせずに通常通り清掃費を請求して連泊を取りやすくする
といった具合です。
注意点
清掃費を乗せ替える場合にも注意する点が2点あります。
①代行手数料がかかる
民泊運営代行業者にもよりますが、手数料が清掃費を除いた宿泊費のみにかかる業者がいます。
そのような業者に委託している場合には、清掃費を下げて宿泊費を上げるやり方だと、代行業者への手数料も上がります。
ご自身が委託している代行業者の手数料体系を確認しましょう。
②安い順ランキングが下がる
リスティングを「安い順」に並べ替えると、清掃費載せ替え型の場合、宿泊費を上げる事になる為、結果的に掲載順位が落ちます。露出が減るという事ですので、そのあたりのバランスも気をつけましょう。
全ての施設が清掃費を乗せ替えるべきではありませんが、予約が入りにくい場合には参考にしてみてください。
元Booking.com アカウントマネージャー。数百以上の宿泊施設にウェブ販売をアドバイス。アパートメントタイプから、ビジネス・リゾートホテル、グローバルチェーンまで幅広いタイプの宿泊施設の販促をサポート。OTAの裏事情まで熟知したノウハウでホテル・民泊のウェブ集客をお手伝いします。