公開日: 2023年5月9日
最終更新日 : 2023年6月6日
民泊でもホテルでも、多くの宿泊施設で集客の柱はOTAになるかと思います。宿の運営においては、いかにOTAをうまく使えるかが鍵になります。そこで本日はOTAでの予約発生メカニズムとその改善方法について解説していきます。どのOTAでも共通の考え方になりますのでホテル、民泊問わず参考にされてください。
予約の方程式
大げさに「方程式」なんて言葉を使ってみましたが、予約の数は簡単な式で表され
予約数=①閲覧数x②成約率 ー ③キャンセル数
となります。当たり前ですね(笑)
ようは①、②、③のいずれかもしくは全てを改善すれば自ずと予約が増えてくるというものです。
どのような方法でそれぞれを改善できるか解説します
閲覧数の上げ方
閲覧数というのは、OTA掲載のホテル、民泊の個別ページにアクセスされた数になります。
例えば、楽天トラベルで「那覇市」で検索すると下記のような施設一覧ページが表示されます
ここでホテル名をクリックすると施設個別ページに飛んで閲覧数1、とカウントされます。
兎にも角にも、閲覧してもらわない事には予約になりませんので、
「いかにクリックしてもらうか」
がまずは第一ステップになります。
ではクリックしてもらうにはどのような要素があるのでしょうか。
下記の3点が大きな比重を占めます
- 表示順位
- 魅力的なトップ画像
- 並べ替え・フィルター
一つづつ解説します
表示順位
表示順位は掲載ランクの事でわかりやすいですね。
上位表示されればされるほどクリックしてもらいやすくなります。
アメリカのある調査によると、Google表示順位ごとのクリック率は下記になるそうです。
- 1位 8.17%
- 2位 3.82%
- 3位 2.43%
1位と2位では倍以上の開きがあります。OTAでも近い傾向がある為、予約数も倍くらい異なってもおかしくありません。
表示順位を上げるには、広告とオーガニック(自然検索)の2種類あります
お金を払って上位表示するのが広告。先の楽天トラベルの例でいうと、上位2施設は背景がオレンジ色になっていますが、これは広告枠。
時期や期間にもよりますが、数万〜数十万円で掲載できます。
オーガニックは、実力で上位表示されているもの。楽天の例だと、背景が緑色だとオーガニックです。
どのOTAでも、
予約が多い=上位表示
という掲載ランクアルゴリズムがありますので、売れれば上位表示されて更に売れる という好循環が生まれます。
逆を言えば、売れない=掲載順位下落=余計売れない という負のサイクルになります。
オーガニックで上位掲載させるには、新規掲載当初に広告でも破格キャンペーンでもいいのでとにかく予約を回す事で上位掲載にもっていく事が必要です。
もたもたしていると負のサイクルが周りだして抜け出しにくくなります。
よく、「安くすると後で料金を上げれなくなる」という謎理論を耳にする事がありますが、そんな事はありません。高級ラグジュアリーブランドビジネスで無い限り、料金は需要に応じて上がったり下がったりします。
魅力的なトップ画像
もう一つ閲覧数に重要なのが魅力的なトップ画像です。
せっかくゲストが掲載ページまでたどりついても、トップ画像が微妙だとスルーされてしまうかもしれません。
最も魅力的な写真で、ゲストに「お?なんだ?この施設?見てみよう」と思ってもらう事が必要なのです。
少し極端な悪い例をご紹介します。
下記は実際に楽天トラベルの「那覇市」に掲載されている施設です
- ナゼがトップ画像がライト
- 縦長画像で掲載(左右が空白になってしまいスペースが無駄)
このような場合だとスルーされる確率が高いでしょう。
自分の施設の最も魅力的な部分、
例えばオーシャンビューなら最も海がキレイに写っている画像を、プール付きならプールをトップに持って来る事でクリック率を上げる事が可能です。
魅力的な写真という点は弊社も非常に気をつけている点で、施設の写真撮影は室内に自然光が入るよう、必ず晴れた日に行います。
また、西海岸のオーシャンビューなら、午前11時頃に写真を撮影します。午後だと日光の入射角の関係で海がギラついて写真写りに影響してしまう為です。晴れた日の午前中の海は青くキレイに映ります(西海岸の場合)
並べ替え・フィルター
閲覧数を上げるには、他にも並べ替えやフィルター狙いもあります。
例えば「安い順に並べ替える」という機能はよく利用されますが、マーケットで最も安い料金を提供する事で並べ替えた時に上位表示されるのです。これが最も簡単な方法でしょう。
但し、安い予約=質の悪いゲスト になりますので注意が必要です。
Airbnbではフィルター機能が用意されており、下記のようなものがあります
他のOTAでも、
- クチコミ順
- 会員価格アリ
- 朝食付き
等、様々なものがあります。
注力するOTAの並べ替え、フィルター機能を確認してそこにヒットするような設定を試してみてください。
成約率の上げ方
晴れて施設ページをクリックして閲覧してもらうと、次は 閲覧→予約 になる「成約率」が重要になります。
いくら閲覧数が多くても、成約率が0%なら予約はゼロです。あまり話題にのぼる事はありませんが、閲覧数と同じくらい重要です。
成約率を上げるには下記が重要です
- 掲載画像数
- キャンセルポリシー
- 清掃費比率
一つづつ解説します。
掲載画像数
施設ページを訪れると、どのOTAでもまず最上段に施設名、そのすぐ下に写真があって、クリックすると多くの写真を見る事ができます。
この写真が少ない施設は、ゲストに対して判断基準を提供できていない事になり、成約率が低くなる傾向があります。
個別ページを訪れたゲストの視線調査を行うと、下記のように主に写真を見て判断しています。
判断の基準となる写真は多く掲載しておく必要があるのです。
写真枚数は最低でも
1棟貸し→30枚以上
ホテル系→50枚以上
はあると良いでしょう。
キャンセルポリシー
キャンセルポリシーは緩ければゆるいほど成約率が上がります。
ゲストの立場に立てば分かりやすいはずです。せっかく見つけた良い施設なのに、1ヶ月も前からキャンセル料が発生するなら、一旦保留して別の施設を探してしまいます。
とある大手ホテルでは、
当日でも連絡すればキャンセル料無料
ノーショーの場合のみペナルティが発生
というとんでもないゆるいポリシーで運用されていたりします。
施設運営の関係でそこまでゆるくする事はできないかと思いますが、できるだけ直前(チェックイン1〜2日前)まで無料にすると良いでしょう。
清掃費比率
一棟貸し施設(民泊施設)には特殊な考え方が必要です。
一棟貸しは通常は清掃を外注していて、その費用を宿泊費と別で設定しているかと思います。
例 宿泊費30,000円+清掃費10,000円=合計40,000円
といった具合です。
この清掃費の割合が高すぎると成約しにくくなります。
例えば下記
宿泊費10,000円+清掃費10,000円=合計20,000円
この例だと清掃費と宿泊費が同じ額でゲストはなんだか損した気分になって予約を躊躇してしまうのです。清掃は宿泊後に行う作業の為、宿泊ゲストはメリットを直接享受できない為、当然です。
想像してみてください。楽天市場で10,000円の商品を購入しようとしたら、送料が10,000円だったら「え?」ってなりますよね。それと似たような感じです。
とはいえ、閑散期等は宿泊費を下げざるを得ません。そんな時はどうすればいいか。
清掃費の設定を下げるのです。(清掃業者に値下げ交渉をするという意味ではありません)
例えば、合計20,000円で販売する場合でも下記の2つの例だと、後者の方が納得感があります。
宿泊費10,000円+清掃費10,000円=合計20,000円
宿泊費15,000円+清掃費5,000円=合計20,000円
近隣施設の清掃費が10,000円なら「清掃費が安くて良心的だな」と思ってもらえるかもしれません。
そこまで大きく比率を変えれない場合でも、清掃費10,000円よりも9,800円にする等して、少しでも安く「見せる」設定で成約率を上げる事ができます。
キャンセル率の下げ方
最後はキャンセル率について説明します。
どんなに閲覧数、成約率を向上させて予約が増えても、キャンセルになっては意味がありません。キャンセル率を下げる事が必要です。
キャンセル率を下げるには 「適正料金」が必須です。
多くの施設では直前になるにつれて料金を下げて予約を取り込む傾向があります。
チェックインが近づくにつれてマーケットに「より安いホテル、民泊」がどんどん出てくるのです。
半年前には近隣施設もだいたい3万円で、魅力的な宿を予約したのに、チェックイン1週間前になると、同等施設が2万円! なんてことはザラにあります。
そうなると、キャンセルして他のホテル、民泊に乗り換えられます
半年前のマーケット料金が必ずしもチェックイン時の適正料金とは限らないのです。
ある程度着地するであろう料金の予測を立てて、チェックインまでにキャンセルにならないような適正料金の設定が必要になってきます。
まとめ
予約数=①閲覧数x②成約率 ー ③キャンセル数
各項目の改善には下記が必要
①閲覧数
- 表示順位
- 魅力的なトップ画像
- 並べ替え・フィルター
②成約率
- 掲載画像数
- キャンセルポリシー
- 清掃費比率
③キャンセル数
- 適正料金
元Booking.com アカウントマネージャー。数百以上の宿泊施設にウェブ販売をアドバイス。アパートメントタイプから、ビジネス・リゾートホテル、グローバルチェーンまで幅広いタイプの宿泊施設の販促をサポート。OTAの裏事情まで熟知したノウハウでホテル・民泊のウェブ集客をお手伝いします。