公開日: 2024年10月7日
最終更新日 : 2024年10月7日 民泊は近年、個人投資家や副業を考えている人々にとって魅力的な選択肢となっています。しかし、成功するためには正しい知識と手続きが必要です。このガイドでは、民泊を始めるための基本的な手順と注意点を詳しく解説します。
民泊の基礎知識とメリット
民泊の定義とは
民泊とは、民家やマンションなどの一般住宅の一部を、宿泊施設として提供するサービスのことです。近年、旅行者の増加や多様化するニーズに対応する形で、世界中で急速に普及しています。従来のホテルとは異なる、家庭的な雰囲気や地域文化に触れられる点が魅力として注目されています。
元々は「住宅宿泊事業法」上の180日の規制がある形態を民泊と呼んでいましたが、現在では旅館業を取得した戸建てやアパートメントタイプも民泊と呼ばれています。
明確な定義はありませんが、下記に該当する場合は一般的に「民泊」と呼ばれいてます。
- 戸建て
- 個人が行う宿泊形態
- キッチン、家具家電付きアパートメント
民泊の魅力的なポイント
民泊が旅行者にとって最も魅力的なのは、キッチン、家具家電付き、かつ規模が大きいという点でしょう。長期滞在や家族連れの場合、キッチンや洗濯機があると費用が抑えられます。、また、1棟貸しのような大箱の民泊の場合は、大人数で費用を割る事で一人あたりの費用は安く済ませる事ができます。この点がホテルと最も異なるポイントです。
また他にもホテルとは異なる魅力的な宿泊体験を提供します。例えば、地元住民との交流を通して、その土地の文化や生活様式を深く理解することができます。ホテルでは味わえない、家庭的な温かみやアットホームな雰囲気を楽しむことができます。
民泊オーナーになるメリット
民泊オーナーになることは、収入源の多角化や不動産価値の向上など、様々なメリットがあります。空き部屋を活用することで、新たな収入を得ることができ、不動産投資としても有効です。また、地域活性化に貢献できる点も大きな魅力です。民泊を通して、地域の魅力を発信し、観光客誘致に繋げることができます。さらに、世界中の人々との交流を通して、国際的な視野を広げることができます。
民泊は基本的に無人運営になる事が多く、副業でも始める事が可能です。一度立ち上げてしまえば運営開始後はそこまで手間がかからないのが魅力のビジネスです。
民泊を始めるための準備
運営形態を決める
民泊の運営形態には、大きく分けて「住宅宿泊事業」「「旅館業」の2種類があります。住宅宿泊宿泊事業は日数が180日に制限されてビジネスとして大きな制限が掛けられる為、あまりオススメできません。そこでここでは後者の旅館業について解説します。
必要な許可と申請手続き
民泊を始めるには、地域や運営形態によって、様々な許可や申請手続きが必要となります。例えば、簡易宿所として運営する場合でも、消防法や建築基準法などの法令に基づいた確認が必要となる場合があります。また、旅館業として運営する場合には、旅館業法に基づいた許可を取得する必要があります。これらの手続きは、自治体によって異なるため、事前に担当部署に問い合わせて、必要な書類や手続き方法を確認することが重要です。
この担当部署というのが主に各自治体の保健所の事なのですが、保健所によって、または保健所の担当者によっても基準が厳しかったり緩かったりと非常に曖昧です。全国一律のある程度の基準はありますが、細かい点がかなりの程度異なってくる為、保健所への事前相談、頻繁な訪問しての相談が必要になってきます。
物件の選定と準備
民泊の物件を選ぶ際に最も重要なのが立地です。立地を間違えるとどんなに頑張っても収益があがりません。逆に立地がよければ素人がやってもある程度利益を出す事が可能です。但し、最近では民泊ブームも相まって立地の良い物件はまず表には出てこないと思った方が良いでしょう。出てきたとしても高額になっていて利回りが悪くなることを覚悟してください。
他にも周辺環境、設備などを考慮する必要があります。また、ゲストが快適に過ごせるよう、清潔で安全な環境を整える必要があります。さらに、宿泊施設の設備として、ベッド、寝具、タオル、アメニティなどを用意する必要があります。
民泊運営の実施ステップ
ホスピタリティの向上
民泊運営において、ゲストに快適な滞在を提供することは非常に重要です。そのためには、ホスピタリティを意識したサービスを提供することが大切です。特に民泊最大のプラットフォームAirbnbではクチコミ、ゲストからの評価を最重要視していますので、しっかりとしたホスピタリティでゲストから評価される事が重要です。
例えば、ゲストのニーズを事前に把握し、それに応じたサービスを提供したり、対面で会う事があれば笑顔で丁寧な対応を心がけたりすることで、ゲストの満足度を高めることができます。また、地域の情報提供や観光案内なども、ゲストにとって有益なサービスとなります。
料金設定と管理
民泊の料金設定は、競合施設の料金や宿泊期間、部屋の種類、季節などを考慮して行う必要があります。適切な料金設定を行うことで、収益性を高めることができます。また、料金管理システムなどを導入することで、予約管理や請求処理を効率化することができます。
近年ではAIを利用したダイナミックプライシングを活用する民泊も増えてきています。
この料金設定と管理という部分が慣れていない方や初めて民泊をする方にとっては最もハードルが高くなるでしょう。一回設定して終わりではなく、定期的に予約の動きを見ながら調整していく必要があります。
実のところ、民泊運営代行業者でもこの料金設定を怠っている業者は多くなります。業者に依頼する場合はこの点についてしっかり確認してみてください。
ゲストの集客と対応
民泊の集客には、様々な方法があります。例えば、民泊予約サイト(OTA)への掲載やSNSでの情報発信などが挙げられます。また、ゲストからの問い合わせには、迅速かつ丁寧に対応することが重要です。ゲストとのコミュニケーションを円滑に行うことで、リピーターを増やすことができます。
民泊予約サイトAirbnbの場合はメッセージでの問い合わせが9割以上で電話はほとんどかかってきませんが、Booking.com等の他サイトだと電話での問い合わせも多くなります。副業で民泊を行う場合でAirbnb以外での集客を検討する場合は電話対応についても体制を整える必要があるでしょう。
民泊運営の注意点と対策
法律遵守と安全管理
民泊運営では、法律や条例を遵守することが重要です。特に、旅館業法や消防法などの法令に関する知識を深め、適切な手続きを行い、安全対策を講じる必要があります。また、ゲストの安全確保のため、防犯対策や防災対策を講じることも重要です。
アパートメントタイプの場合はゲストが騒いでうるさいというクレームが頻繁に来ます。近所に迷惑をかけないような事前案内の徹底も必要になってきます。
安全性については、鍵の受け渡しがネックになる事があります。物理的なキーボックスで鍵を渡す場合、同じ番号を使い回すとセキュリティ上よろしくありません。スマートロックやスマートキーボックスを活用すればゲストに毎回異なる解錠番号を自動で通知する事もできるのでオススメです。
提供サービスの品質維持
民泊のサービス品質を維持するためには、清掃やメンテナンスを定期的に行う必要があります。また、ゲストからのフィードバックを積極的に収集し、サービス改善に活かすことが重要です。さらに、ゲストに快適な滞在を提供するため、アメニティや設備の充実を図ることも大切です。
特に重要なのが、清掃クオリティです。ご自身で行うには時間的に非常にハードルが高くなる為、専門の清掃会社に依頼する事になるのですが、このクオリティが業者によっても、清掃担当者によってもバラバラなのです。可能であれば、最終チェックを自分で行う事ができれば良いでしょう。
過去にあった事例としては、リネンに髪の毛がたくさん落ちていたのでゲストが怒ってキャンセル。全額返金という例もありました。
全額返金になると大きな損害になってしまう為、最低限のサービス、清掃クオリティの維持は必須になります。
ゲストレビューの活用
ゲストレビューは、民泊の評判を左右する重要な要素です。良いレビューを獲得することで、集客力向上に繋げることができます。そのため、ゲストに満足してもらえるサービスを提供し、積極的にレビュー投稿を促すことが重要です。また、悪いレビューに対しても、真摯に対応することで、信頼性を高めることができます。
特にAirbnbではレビューが最重要視されている為、レビューが良ければ稼働率があがるだけでなく、料金が高くても予約が入るようになります。逆に悪いレビューが続くと、アカウントが強制削除される事もある為、シビアです。
民泊を成功させるためのヒント
ITツールの活用
民泊運営を効率化するためには、様々なITツールを活用することが有効です。例えば、予約管理システムや清掃管理システム、顧客管理システムなどを導入することで、業務効率を向上させることができます。利用するのとしないのでは10倍も時間効率が変わってきます。また、SNSや民泊予約サイトなどを活用することで、集客力を強化することができます。
特に複数の予約サイトを利用して販売する場合にはオーバーブッキングが発生しないようにサイトコントローラーと呼ばれる一括管理システムが必須になってきます。また、毎回案内するような定型のメッセージは自動メッセージ機能で自動送信する事で正確にヌケモレなく案内できます。
うまく回りだすと、自動メッセージを読んで自分でチェックインして勝手にチェックアウトして清掃手配もシステムで自動化という形にする事も可能です。
レビューを増やすテクニック
民泊のレビューを増やすためには、ゲストに満足してもらえるサービスを提供することが最も重要です。また、ゲストにレビュー投稿を促すメッセージを送ったり、レビュー投稿の特典を用意したりすることで、レビュー獲得率を高めることができます。さらに、積極的にゲストとコミュニケーションを取り、レビュー投稿を促すことも有効です。
レビューは対面の場合は高くなる傾向があります。完全無人の場合は若干レビューが低くなる傾向にある為、近くに住んでいる場合はゲストに対面で挨拶する程度でもレビューの低下を防ぐ効果があるので可能な場合は試してみましょう。
注意したいのはレビューを金銭で購入する事。ゲストに「割引する代わりに良いレビューを書いて」等と促すのは規約に違反しています。プラットフォーム側にバレるとアカウント強制削除の対象になりますので絶対に行わないようにしましょう。
地域の魅力を生かしたプラン
民泊を成功させるためには、地域の魅力を生かしたプランを提供することが重要です。例えば、地元の特産品を使った料理を提供したり、地域のイベント情報などを提供したりすることで、ゲストに特別な体験を提供することができます。また、地域住民との交流イベントなどを企画することで、ゲストの満足度を高めることができます。
民泊の始め方と注意点について解説しました。最も大変なのは許可を取得する所ですが、取得してしまえばある程度の自動化も可能なのが民泊の魅力です。莫大な投資が必要なものではなく、賃貸で始める場合は数百円から可能。副業としては比較的始めやすいのではないでしょうか。物件が増えてくれば運営代行として拡大する事も可能。これを期に民泊を始めてみてはいかがでしょうか。
元Booking.com アカウントマネージャー。数百以上の宿泊施設にウェブ販売をアドバイス。アパートメントタイプから、ビジネス・リゾートホテル、グローバルチェーンまで幅広いタイプの宿泊施設の販促をサポート。OTAの裏事情まで熟知したノウハウでホテル・民泊のウェブ集客をお手伝いします。