最終更新日:2026年10月20日
毎日のように届く、ゲストからの問い合わせ。
1件あたりは数分でも、積み重なれば大きな業務負担になります。
「返信に追われる時間を減らしたい」
そう感じているホテル・民泊オーナーの方向けに、今回はゲストからの問い合わせにAIが自動で返信文を作る仕組みをご紹介します。
この仕組みは、各施設のGoogleスプレッドシートをAIが毎回参照し、多言語で返信文を自動作成するもの。学習型ではなく「常に最新情報を参照する構造」なので、既存のQ&Aや施設情報をそのまま活用できます。
使うのはGmail・Googleスプレッドシート・GASだけ。1件2〜3分かかっていた返信作業を、ほぼゼロにできます。
こんな宿におすすめです
✔毎日届く問い合わせの返信に、スタッフの時間を取られている
✔英語・中国語・韓国語の問い合わせに、対応できる人が限られている
✔チェックイン時間やWi-Fiなど、同じ質問に何度も答えている
✔施設情報はすでにGoogleスプレッドシートにまとまっている
本記事では、その仕組みと具体的な導入方法、費用や注意点までわかりやすく解説します。
ホテル・民泊の問い合わせ対応が抱える3つの負担
まず、なぜ自動化する価値があるのかを整理しておきます。
実際にどんな問い合わせが来るのかは 無人ホテルの電話問い合わせ内容ランキングと対応策 にまとめています。
AI自動返信システムとは
具体的にどういったものかをご説明します。
AIが参照するのは、宿ごとのGoogleスプレッドシート
弊社では複数のホテルをサポートしているため、各宿ごとに用意しているGoogleスプレッドシートがあります。それには以下のような情報が網羅されています。
スプレッドシートに入っている情報
●施設情報(住所・アクセス・チェックイン方法など)
●設備、アメニティ情報
●個別ルール
●Q&A一覧
実際のシートの例
弊社ではこのようなスプレッドシートを一つの宿につき1ページ作成し、ゲストから問い合わせがあるたびにスタッフが確認して問い合わせに対応していました。
ゲストからの質問で新しく確認した事項はどんどんQ&Aとして付け足していきます。
現在ではこのシートを、AIがその都度参照し、多言語で返信文を自動作成してくれます。
メッセージ数が多い施設ほど、圧倒的な時短になります。
運用フロー:受信から送信までの8ステップ
実際の流れとしては以下のようになります。
6までは自動処理。7から人間の手が入ります。
といっても、確認と送信ボタンクリックのみなので業務量は圧倒的に減ります。
実際の返信文
ゲストからの問い合わせはOTAを問わず全てエアホストというシステムを通して行ってます。
① ゲストからのメッセージがGmailに届く
ゲストからメッセージを受信すると、そのエアホストからの通知は以下のようにGmailに届きます。

② AIがシートを参照して返信文を下書きする
それに対し、メールボックスにある未処理のメールをAIが判別して、その施設の特定のスプレッドシートを参照して以下のような文章を作成してくれます。

③ 多言語対応:問い合わせと同じ言語で返信
この例では日本語の問い合わせですので返信文も日本語ですが、英語の質問に対しては日本語と英語で、中国語や韓国語での質問に対しては日本語とその言語で返信文を作成するようにしています。
日本語を併記しているのは、送信前に日本人スタッフが内容を確認できるようにするためです。AI導入前の多言語対応については DeepLとGoogle翻訳の合せ技 もどうぞ。
内容を確認して問題なければ、同じメール内にあるエアホストの該当ページへのリンクをクリックしてエアホスト内からゲストにメッセージを送信するという流れです。
弊社ではエアホストを利用していますが、仕組みとしては、GoogleスプレッドシートとGmailの組み合わせですので、PMS(管理システム)が何であっても対応が可能です。
実際の効果
1日数十件の問い合わせがある施設では、業務負担が大幅に軽減されます。セルフチェックインでフロント業務を9割削減した事例と組み合わせれば、現場に人がいない時間帯でも運営が回ります。
Q&Aも個別に作成して登録する必要はなく、現在利用しているGoogleスプレッドシートをAIが自動で読み込んで解析してくれるため、Q&A作成の手間も省けます。
返信文はスプレッドシートの情報を細かく参照して作られるため、かなり具体的な内容になります。
さらに、こんなカスタマイズもできます
精度を上げるために追加するルール
以下のルールも追加するとうまく動作します。
返信文の書き方に関するルール
AIっぽさを消すための5つの指示
✔読みやすいように、必要に応じて箇条書きを使用する
✔AIにありがちな、質問に対して「はい、〜」のような妙な言い回しは不要
✔問い合わせを受けているのは宿(ホテル、民泊)側なので、宿側からの回答として回答文を作成
✔「ホテルに確認いたします」「知識ベースに持ち合わせていません」のような回答文の作成はしない
✔シート内にある電話番号等の個人情報は伝えない
これだけでもAIっぽさが無い回答になります。どんな文面が評価につながるかは 運営代行のカスタマーサポートが実践するオンライン対応のコツ も参考にしてみてください。
返信文を「作らない」条件も決めておく
以下の場合は、返信文は作成しないという条件も付け加えると無駄な返信文の作成が抑えられます。
下書きを作らないケース
✕メッセージが空
✕定型的な承諾・お礼のみ(短文) キーワード例:わかりました、ありがとう、了解、ok、thanks 等 言語問わず
✕画像のみの送信
✕メールアドレスのみの送信
この仕組みの最大の特徴
この仕組みは、Q&AをAIに「学習」させる方式ではありません。
毎回スプレッドシートを参照する仕組み
そのため、次の3つが同時に成り立ちます。
「参照型」だから成り立つこと
✔既存のGoogleスプレッドシートをそのまま活用可能(専用に書き換える必要は無い)
✔Q&Aを手動で追加すれば次回からは自動で返信文に反映
✔再学習が不要で、常に最新情報を参照
GmailとGoogleスプレッドシートの組み合わせですので、どのようなホテルでも民泊でも、どんな宿にも応用可能な構造になっています。
弊社の場合はエアホストを利用していますが、エアホスト以外のPMSでも活用できるかと思います。ゲスト対応の自動化を全体像から見たい方は ホテルの自動化5ステップ、チェックインの無人化は 小規模ホテルのための「無人チェックイン」完全ガイド もあわせてどうぞ。
同じ土台に音声を載せたのが「AI電話」
この自動返信の仕組みは、メールだけのものではありません。
このシステムを土台にして、音声を載せたものが、弊社のAI電話対応システムです。
メールも電話も、土台はまったく同じ
ゲストから電話がかかってくるとAIが応答し、メールの自動返信と同じ宿ごとのGoogleスプレッドシートを参照して、その場で声で回答します。AIに学習させるのではなく、シートの内容を参照して答える構造もそのままです。
そのため、シートにQ&Aを1行足せば、メールの返信文にも電話の回答にも反映されます。宿側が手入れするのは、シート1枚だけです。
AI電話は現在テスト運用中です。実際の通話音声やデモ動画、費用は ホテル・民泊のAI電話、実際どうなる?ChatGPT音声AIの実例【音声あり】 で紹介しています。
使用ツールと費用
使用したツール
AIエージェントClaude Code以外は、すべてGoogle環境内で完結します。外部ツール連携は不要です。
費用の考え方
Gmail・Googleスプレッドシート・GASは、Googleアカウントがあれば追加費用なしで使えます。別途かかるのは、返信文を作成するAIの利用料です。
なお、今回ご紹介したAIによる自動返信システムはエアホストでも「AIアシスタント」として実装されていて、1室1,200円で利用できます。自作するか、既製の機能を使うかは、施設数や社内でコードを触れる人がいるかで選ぶとよいと思います。
無人化・自動化全体にいくらかかるのかは ホテル無人化費用 にまとめてあります。
導入するときの注意点
便利な仕組みですが、任せきりにしてよいわけではありません。実際に運用していて重要だと感じるのは次の4点です。
⚠️ 送信前の確認は人が行う
生成AIである以上、意図しない表現が混ざる可能性はゼロではありません。だからこそ「下書きまで自動、送信は人」の設計にしています。
⚠️ シートに書いていないことは答えられない
参照元に情報がなければ正確な返信は作れません。新しく聞かれた質問はQ&Aに1行足す、という運用がセットになります。
⚠️ 機微な情報はシートに置かない
案内に必要な施設情報だけを置き、オーナーの電話番号などの個人情報は参照させない・使わせない指示を入れておきます。
⚠️ 例外対応は自動化しない
クレーム対応・返金の相談・特別な要望などは、人が判断すべき領域として残しておくのが安全です。
ホテルのAI自動返信に関するよくある質問
QAIの返信精度はどのくらいですか?
Aこのシステムは学習型ではなく、返信のたびに施設ごとのGoogleスプレッドシート(施設情報・設備・ルール・Q&A)を参照して文章を作成します。そのため、シートに書かれている範囲の質問には具体的に回答できます。ただし生成AIである以上、意図しない表現が混ざる可能性はゼロではないため、最終的な確認と送信は人が行う運用にしています。
Qスプレッドシートに書いていないことを聞かれたらどうなりますか?
A参照元に情報がない問い合わせには正確に答えられません。そのため、新しく聞かれた質問はQ&Aとしてシートに追加していく運用がセットになります。逆に言えば、シートに1行足すだけでその日から対応できる範囲が広がります。
Q多言語には対応できますか?
A対応できます。英語の問い合わせには日本語と英語で、中国語・韓国語の問い合わせには日本語とその言語で返信文を作成しています。シートは日本語で書いたままで構いません。
Q費用はどのくらいかかりますか?
AGmail・Googleスプレッドシート・GAS(Google Apps Script)は、Googleアカウントがあれば追加費用なしで利用できます。別途かかるのは返信文を作成するAIの利用料(従量課金)です。なお、エアホストの「AIアシスタント」として提供されているものは1室1,200円で利用できます。
Q個人情報や機密情報が漏れませんか?
A参照させるスプレッドシートには、チェックイン方法・Wi-Fi・設備・ハウスルールといった案内用の情報だけを置くのが基本です。オーナーの電話番号などが載っている場合は「電話番号等の個人情報は使用しないで」と指示すればその通りに動きます。加えて、送信前に人が内容を確認する運用にしておけば、意図しない情報がそのまま出ていくことはありません。
Q施設のルールや設備が変わったときはどうすればいいですか?
Aスプレッドシートの該当箇所を書き換えるだけです。AIが返信のたびに最新のシートを読みに行く構造のため、再学習やAIの設定変更は必要ありません。これが「学習型ではなく参照型」にしている最大の理由です。
Qエアホスト以外のPMSでも使えますか?
A使えます。この仕組みはPMSの内部と直接つながっているわけではなく、PMSからGmailに届く問い合わせ通知メールを起点に動いています。問い合わせがメールで受け取れる環境であれば、PMSの種類を問わず応用できます。
まとめ
この記事の要点
✔ゲスト対応はGmail+Googleスプレッドシート+GASで自動化できる
✔AIに学習させるのではなく毎回シートを参照するので、シートを直せばその日から反映される
✔問い合わせ言語に合わせて多言語で下書きが作られる
✔1件2〜3分の返信作業がほぼゼロに。確認と送信だけが人の仕事になる
✔PMSがエアホストでなくても、メールで通知が受け取れれば応用できる
✔同じ土台に音声を載せれば、電話にもAIが応答できる(AI電話の実例)
AIに任せられるところはAIにお任せして、人間しかできない部分に業務を集中していきましょう!
メッセージ処理に時間を取られている方やスタッフの業務量削減をしたいホテルは是非お試しください。
弊社では小規模ホテルの無人運営のお手伝いをしております。今回ご紹介したようなAIを活用して業務を効率化したり、AIを利用して売上を上げるお手伝いをしております。
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